洸  カランコロン♪(ドアを開けて入店) 洸  微妙に疲れたような表情をしており、無言でカウンター席に座って脱力状態。 洸 (はぁ……。大学生ってあんな感じばかりなのか……?) ナナシ 「……」無言で入ってくる 洸  ナナシを見るも、元気なくそのまま(笑) マスターにウーロン茶を頼んで飲んでいる。 ナナシ 「……適当で……たの……む」カウンター席に入り、マスターに静かに頼む。 洸 (やっぱり、受験も近いしこの長髪は切るかなぁ。もう“揺らぎ”は起きないだろうし……) 洸  そう言いながら束ねている長髪に手をやる。 ナナシ (……酒……か……段々酔わなくなってきてる……な……これも、この……身体が……拒否している、せいか……) ナナシ (………)無言で、自分の手を見ている。 洸 (そういえば、あの人は初めて見るなぁ……) ナナシ (……私は……いつまで……このままなのか……)と、懐から一本のボールペンを出す。 ナナシ (……っ……)自分の左手に、思いっきりボールペンを突き刺す……が、引き抜くと同時に傷が消える。(………) ナナシ (……死に……たい……が、死ねない……か) ナナシ (……騎士に、私を殺せる力を持った者がいれば……いいのだが……魔獣でも……) 洸 (――!? 何をしてるんだ!?) スセリ からん、ドアが開き、銀色の球体が3個、ふよふよと入って来る 洸  思わず腰を浮かして、ナナシ(とその手を凝視)>ナナシ スセリ 店内にふわふわのもこもこのコートを着た少女が現れる スセリ 「お久しぶりです・・・」>皆様 哀 (カランコロン)「こんばんはぁ……」 哀 「あ、スセリちゃん、元気?」 ナナシ (……?)初対面だ。自分のことではないと再び自分の手首を見るナナシ。 洸  傷が消えていくのを見て(ああ、やっぱり“普通の”人じゃないのか……) スセリ 「お久しぶりです。神原様」銀色の球体がマジックハンドを振っている>哀さん 洸  疲れた表情にも笑みを浮かべつつ、かるく挨拶>スセリ・哀 哀 「?」>ナナシさん ナナシ (死ぬためには……脳の命令を止めればいい……だが、私の……自己保存能力は四散さえも許さない……一個体の生としては完全に固定されている……?) スセリ スセり たったった「始めまして」少女が挨拶をする>ナナシ 哀  親しみにくい人ではなさそうなので、真面目な顔をして 哀 「初めまして。神原57代目、神原哀と申します。」 哀 >ナナシさん ナナシ (車に轢かれる。焦熱により灰になる。鉄骨に潰される。剣で動脈を切られる……)次々と死に方を考えて、自分には無理だと否定していくナナシ。と、周りの声に気づく。 スセリ 「私はスセリ。よろしくです。」銀色の球体からべーっと<運命の輪>のタロットが出てくる ナナシ 「……<力>……名前はない……捨てた………………よろしく」 ナナシ 「……ナナシで通っている……」 哀 (暗……!) スセリ 「ナナシ様。よろしくです。」銀色の球体からマジックハンドが伸びる。握手を求めているようだ>ナナシ ナナシ (………)無言で握手>スセリ スセリ  にこ! ナナシ (……私を殺せる……か……?……殺せるならば……偶然が……それを許さない……か。どちらにしろ……) ナナシ (………)その場が自分のせいで暗いのかと思い直し、自己紹介を続ける「……力は……【英霊術】……だ……」 ナナシ やはりナナシは暗かった。 スセリ 「偶然は必然。それは”世界”の摂理・・・」 スセリ ぼそっと ナナシ (……?)胸中を読まれたのだろうかと怪訝な顔をする。 ナナシ 「この私の肉体も……必然……か」 哀 (匠……いいから代わって……)状況にあわせきれない スセリ 「最近、寒くなりましたねぇ」>哀さん 洸 (ふぅ……。面倒なことはとりあえずおいておくか……)軽く伸びをして、改めて店内を見回す。 哀 「そうだねぇ。新しいお洋服欲しいなぁ……」(ユ○クロでいいから……)<寒い ナナシ (運命は否定できない……過去を否定することだ……予測は出来ても……絶対を知ることは出来ない……それでも……もし、知ることが出来たなら……私はきっと……この肉体を得はしなかった……) 洸 (ああ、そうか。大学に入ったら制服じゃなくなるんだっけ。ちょうどいいのがあると良いなぁ)ぼんやりとした表情で、スセリと哀の会話を聞いている。 哀 「亡くなった方を使役する……『力』?……ですか?」>ナナシさん スセリ 銀色の球体がカウンターの中で何かやってる ナナシ 「……成仏した……霊を行使する……それが英霊術……力なのは……私の肉体が……異常だからだ」 哀 「異常……」 ナナシ 「……不老……不死……老えない、死ねない……異常だろう……生命固有の死が設定されていない……無くなった……」 ナナシ 「進化によって得た死を、私の肉体は放棄した……退化した……」 哀 「死なない……」(死ねない……) ナナシ 「……貴方の力は……?」 哀 「……」苦笑い 哀 「……別人……です。」 スセリ 「久遠様、スクナに新機能が付きました」>洸さん ナナシ 「……成る……程……?」一応頷くが、分かっていない様子>哀 洸 「ん? スセリちゃんだったよね。新機能ってどんな機能?」>スセリ 哀 「ええと……変な物を飼っているんですよ。」直には言わない(笑>ナナシさん ナナシ (進化によって不死を得る……馬鹿げている……原生動物以下じゃないか……この身体は……進化とは言えないか……) スセリ 「調理機能です。」カウンターの向こうで銀色の球体が胸(無いけど)を張る>洸さん ナナシ 「……別人……か……」色々予想するも仮説の域を出ない。>哀 洸 「調理、かぁ。どんな料理を作れるの?」球体の動きに苦笑しつつ>スセリ 哀 「失礼ですが……おいくつなんですか?」真面目な顔<不老不死>ナナシさん ナナシ 「……28から年をとることを止めたようだ……実年は38……」 ナナシ >哀 スセリ 「何でも作れるはずです」不安をかきたてる台詞>洸さん 洸 (作れる……「はず」? 微妙な表現だなぁ) スセリ 「とういうわけで、初めてのお客さん(実験体)です」>洸さん 洸 「それじゃ、黄金チャーハンとスープをもらえるかな?」 ナナシ (………)何かに聞き入っている…… 哀 「十年……」笑みをつくって「なら、大丈夫ですよ♪まだ十年でしょ?何かの拍子に……歳……とれるかもしれないじゃ……ない……ですか……」だんだん元気がなくなる(無責任すぎるかなぁ……)>ナナシさん ナナシ (………)ふ、と急に笑みを浮かべる。「……有り難う……」 スセリ 「では、がんばって作りますです〜!!」<黄金チャーハンとスープ 哀 「……すいません……。」なんとなく。>ナナシさん ナナシ 「……貴方が謝る必要は……ない……暗い話にして……すまなかった」 スセリ カウンターの奥で銀色の球体がわきゃわきゃと何かやっている ナナシ 「……」カウンターの奥をちらと見る。 哀  視線同調。<カウンター ナナシ (……芸……でもできたら和める……か……だが……)死霊術と不老不死でどーしろと。 スセリ 銀色の球体から泡だて器やら、中華なべやらがにょきにょき生えていて何やっている スセリ <カウンターの中 哀 (おぉ……)<料理 ナナシ 「料理……」 哀 「いいなぁ……」(材料がいっぱいあって……) 洸 (それにしても、スセリちゃんの使鬼みたいなものなのかな……)<カウンター内の球体を見つつ>スセリ ナナシ (……料理人―――……)「霊……」ぼそっ…… 哀 「?」 スセリ 「スクナは移動情報端末です」>洸さん スセリ 「新機能は調理を効率よく行えるため、24種類の調理器具を内蔵しました・・・」 哀 「いいなぁ……」(道具がいっぱいあって……) スセリ  銀色の球体がわきゃわきゃやってる ナナシ 「…………」(……何で私は食べなくても生きられるんだろうか……) 洸 (万能メカって感じだけどなぁ……)<移動情報端末 ナナシ (何かをエネルギーとして得ている……か……?)「……一体……」ぼそ。 スセリ 「できました。」銀色の球体が見事に調理した卵チャーハンとスープを持ってくる>洸さん 洸 「美味しそうだね。食べても良いかい?」>スセリ ナナシ 「料理……させようか……?」空中で何かとは話す…… 哀 「わぁ……」 スセリ 「どうぞ」銀色の球体が固唾をのんで見守っている・・・ 哀 <できあがった料理 洸 「それじゃ、いただきます」手を合わせて軽く目をつぶってから、レンゲに手をつける。 洸 「ん……(しばし味わってから)、うん、美味しいよ」チャーハンを食べて、ニッコリと球体に微笑みかける。 スセリ  銀色の球体は喜び飛び回る スセリ 「ありがとうございます」 哀 (……くすねて行っちゃおうかな……)<食材 洸 「うん、こっちも美味しい。どこかで作り方を習ったの?」スープも味わってから>スセリ スセリ 「データベースから検索しました」 ナナシ 「……いい……?……そうか……」>何かと会話中 哀 「?」>ナナシさん スセリ 「ナナシ様、あなたにも何か作りましょうか?」>ナナシさん ナナシ  怪訝そうな哀に対して「……いや……霊に……」 ナナシ 「……食べなくても……いいから……結構だ」>スセリ 洸 (データベース……?)ちょっと不思議に思いつつも、表情には出さずに食事(笑) 哀 「ああ……この人ですか?」目を凝らしてみる<霊 ナナシ 「……出てきてる……?」>霊 スセリ 「人は何かを食べて感じるものです。戻る事もしないのですか?」>ナナシさん 哀 (執着が弱すぎて……よく見えないなぁ……) ナナシ 「……もらおう……好意を無碍に断る必要もない……が……死ねない者が他者の死を喰らっていいものか……」独り言っぽい。 洸 「ふぅ、ご馳走様でした。美味しかったよ」>スセリ スセリ 「何かをする事が変化を生むのです。不変の方・・・」>ナナシさん 哀 「頂きましょうよ?」>ナナシさん スセリ 銀色の球体はまた、わきゃわきゃと動いている 哀 「私も、いい?」>スセリちゃん スセリ 「よろこんで」にっこり笑う ナナシ 「……総ては死ぬために設定されている……進化を除き。死と戦う……神に刃向かう……それが生……だが……私は……私の身体は……」 ナナシ 「……死なないために生きる。死と戦う……私は、死ぬために戦う……のだ」 ナナシ 「……頂こう」 哀 「無責任かもしれませんけど……辛さも解ってないんでしょうけど……」 洸 「さて、と。美味しい食事も頂いたし、今日はそろそろ帰る事にしようかな……」 洸 「そうだ、スセリちゃん」 スセリ 「目標は進まなければたどり着く事はできませんよ。」>ナナシさん 哀 「やめませんか?そういうの。あの……周りの人が亡くなるのは……辛い……です……。」>ナナシさん スセリ 「はい」>洸さん 洸 「今度仙界に帰った時に、向こうの独自の料理の調理法(つまりレシピ)を聞いてこようか?」 スセリ 「うれしいです」>洸さん スセリ 「ナナシ様は立ち止まっていますよ」>ナナシさん 洸 「多分、今度の冬に一度向こうに戻ると思うから、年明けにでも教えるよ」>スセリ ナナシ 「……不安なのだ……世界が滅ぶ……滅んだとして、私も滅ぶのか……?私の死を証明する答えはない……今は……」独り言っぽい。 スセリ 「分かりました。楽しみにしています」>洸さん 洸 「今日はご馳走様」>スセリ 「それじゃ、おやすみなさい」>ALL 哀 「おやすみなさい」 スセリ 「その通りです・・・」>ナナシさん 洸  カランコロン♪(ドアを開けて退出) スセリ 「おやすみです」 哀 「ねぇ、スセリちゃん。」 哀 「飯島さん、知らない?」 ナナシ 「……お休み……」 スセリ 「はい?」 ナナシ 「……だから、滅ばないように魔獣を倒す……或いは、死ぬために戦う……孤独は……滅んだ世界に孤独であることは……それは哀しいことだ……」ぼそぼそと独り言で。 スセリ 「そうですねぇ。知っていますが、教えられません。そういうことになっています。プライバシー侵害とか難しい問題があって」>哀さん」 哀 「2週間くらい、家に来てないの。9月に入ってからは週に3,4回必ず組み手に来てたのに。」>スセリちゃん ナナシ 「……私の死は……私の精神の崩壊なのだろうか……魔獣に取り込まれる……或いは、それ以外に……何者かに……」ぶつぶつ。 スセリ 「大丈夫ですよ。飯島様は・・・。あなたもよく知っているでしょう」 哀 「そう……」<言えない 哀 「大丈夫……とかそういうことなの!?」<大丈夫 スセリ 「できました」銀色の球体が持ってきたのは、白ご飯に味噌汁に焼き魚。典型的な日本食 ナナシ (……孤独では……ないというか……死後界の住人……だが……成長もなく、接触もない……霊達よ……私は其方に行けないのかも知れない……それが、不安なのだ。或いは……貴方達の世界が実在することを証明できるわけではない……死ねば、無に返るだけなのかも知れない……確かに、会話は出来るが……一度神に背いたこの肉体が……神の元へ行けるのか……いや……神の存在も私には……)と、胸中で会話をして、料理に気づく。 ナナシ 「……有り難う……」前に出された料理を一口食べる……そのまま、止まる。 スセリ 「生きる事は変化をする事。でも、彼は大丈夫。たとえ・・・」>哀さん ナナシ (味覚が……必要なくなっている……毒を見分ける必要がない……徐々に、退化が進んでいる……やはり……か)味を感じなくなってきている。その事実を飲み込むナナシ。 ナナシ 「……美味しいよ……有り難う」 スセリ 「どういたしまして」くすくすくす 哀 「うん……わかった……。」(何とか連絡取らないと……) 哀 「いただきまぁす♪」調子を明るくする スセリ 「そろそろ、私はおいとまします。次回までに今日出たバグは修正されるでしょう。」 スセリ 「それではまた会うときまで」少女の姿が消える ナナシ (……視覚と聴覚は……まだ……ある……か)それも、死の危険のない自分には何時消えるか分からない。 哀 「じゃあね。ご馳走様。」>スセリちゃん ナナシ 「……ご馳走様……」 スセリ ドアから銀色の球体が出て行く。 ナナシ (生きる目標は……【死ぬこと】……だから、退化が進む……何か……別の目標がいるのだろうか……)ブツブツと呟く。 哀 「おいしいですね♪」>ナナシさん ナナシ 「……ああ……美味しいな……」 哀 「死なないって事は、ずっとこういうことができるって事ですよ?」本人の気も知らないで…… ナナシ 「……そうだな……魔獣が滅ぼさないように……頑張る、よ……」 ナナシ 「貴方は……何のために……魔獣と?」 哀 「父の……ですかね?」 ナナシ 「……父……?」 哀 「はい。私の仕事は基本的に父が決めますから。」 ナナシ 「……そうか……厳しいのだな……貴方の父君は」 哀 「そう、かもしれませんね。でも、苦にはなりませんから♪」 ナナシ 「……家、か……」 ナナシ 「帰るところが在るというのは良いな……」 哀 「?」顔が曇る ナナシ 「名前を……捨てるということは、そういうことだ……」 哀 「……」俯く ナナシ 「……魔獣を憎んだことは?」 哀 「あんまり……。」 哀 「覚えてないんです。何があったか。」 ナナシ 「そうか……忘却も、人間の力だ。気にすることはない……」 ナナシ 「私は……何故、憎めないのだろうな……魔獣を」 ナナシ (……それは、或いは……)「希望だから……だな……私の死……眠り……」 哀 「でも……私とつきあいのある人で、本当に憎んでる人が居ます。」 哀 「私の師が死んだときも、本気で悲しんでくれました。何の面識もなかったのに。」 ナナシ 「……私は……いつか、自分の不死故に……人の死を数と認識するようになるのかも知れない……それは、とても恐ろしいことだ……」 哀 「そうしないと……やってけないかも……」 ナナシ 「妻の……死さえ……」 哀 「……」 ナナシ と、BARのマスターがそろそろ閉店だと告げる…… 哀 「……失礼します。」他に言葉が見つからない ナナシ 「ああ……」 哀  出ていきます。 ナナシ 「……私も……帰る、か……別の……所で……また……飲もう……」 ナナシ 同じく、ナナシも去る。