薫 (からころん)「こんばんは」いつものミラーシェイドに黒づくめの格好である。 薫 (誰もいない、か……) 薫  それでも端の席へ向かう薫。 薫 「ダージリン、ください」>マスター マスター 「かしこまりました。」 薫  紅茶を飲みながら、少しぼんやりとしている。 マスター 「どうかされましたか?」 薫 (ここにくれば、誰かがいるのが当然のような気がしていたのかな……)所在なさげ。 薫 「いえ、今日は誰もいなくて、少し寂しいなと思って」>マスター マスター 「なるほど、でも、もう少しまっていればきっと誰かきますよ」 薫 「そうですね」(微笑)>マスター 薫 (別に騎士のすべてが仲間だとも思わない。でも、ここが落ち着くのは……やっぱり、気を緩めているのかな……) 薫 (私は『仲間』が欲しいのか。『同類』の……人外の存在に安心したいだけなのか。円卓の騎士は帰属するべきところではないはずなのに) 薫 (さみしがる戦闘体?)自嘲の笑みを浮かべる。(お笑いだな…) 薫 (人間になりたがる、人間でありたいと思う。とうさんとかあさんが人間としての私を与えてくれた。) 薫 (それを総帥が奪った……。) 薫 (戦闘体として所属させられた、円卓の騎士になど、やっぱり人間としてやすらいではならないのだろうか…) 薫  紅茶に視線を落としたまま、動かない。 洸  軽やかなドアの鈴の音と共に入店してくる。 洸 「こんばんは」 薫  はっと我に返る。「こんばんわ」>洸 洸  カーキ色のコートを店内のコート掛けにかける。その下は落ち着いたボルドーのシャツとジーンズで身を包んでいる。 薫  見るともなしにその様子を見ている。 洸 「お菓子、この前はご馳走様」>薫 薫 「いえ」(微笑)>洸 洸 「それにしても、今日は静かだね」店内を見ながら。 薫 「そうですね……」(卒業式も近いし、期末テストも……)ちょっと溜息。 洸 「卒業とか入試とかで、みんな忙しいのかなぁ」と半分独り言のように。 薫 (久遠さん、だっけ。この人も高校生なのかな) 洸 「うん? どうかした?」視線に気付いて>薫 薫 「久遠さんは、どこの学校ですか?」>洸 洸 「えっと、聖グレイル学園って知ってるかな? ここ(騎士団)にも関係してる人が結構いると思うんだけど……」 薫 「グレイルでしたか」(丹宮先生といい、鈴木さんといい、ソルレイズくんといい……なんで騎士ばっかりいるんだろう?) 薫 (少し躊躇した後)「私も、グレイルなんです」 洸 「・・・グレイルって本当に騎士が多いんだね」苦笑いを浮かべながら>薫 薫 「そうですね」(苦笑)>洸 洸 「ところで、今は何年生?」 薫 「一年です」 洸 「それじゃ、二つ下なのか。学校内で会ったことないはずだね」と再び苦笑 薫 「ええ。久遠さんは三年生だったんですね」(飯島さんと同じだな) 薫 「入試はどうでした?」 洸 「うん。運良く受かったよ」 薫 「よかったですね」(微笑) 洸 「ありがとう」笑みを浮かべて礼を言う。 薫 (望む道をゆくことができるということは、幸せなこと。私は……いつか自分の道を探せるだろうか) 哀 (カランコロン)「こんばんは……」 薫  ふりかえる「こんばんは」>哀  洸 「こんばんは」同じく、振り返って。>哀 哀 「えっと……ショートケーキお願いします。」>マスター マスター 「かしこまりました」 哀 (ああ……やっぱりお菓子はいいなぁ……。)ちょっと久しぶり 薫 (ふーん……神原さんはケーキが好きなのか。) 洸 (あんなに甘そうなもの・・・よく食べれるなぁ、女の子は・・・) 哀  はたと手を止め(………見られてる?)(汗 薫 「甘いもの、好きなんですか?」(微笑)>哀 哀 「あ……はい……。」苦笑 薫 (今度、またお菓子を作って持ってこようか……) 哀 「若槻さんは、甘いものはお好きですか?」 薫 (哀さん、自分でお菓子作ったりは……しないかな)とバレンタイン前のBARを思い出したり。 薫 「作るのは好きです。でも、どうしても自分が食べるぶんより、多く作りすぎてしまうんですよね」(とうさんとかあさんのぶんまで……) 哀 「お菓子作りかぁ……いいなぁ……。」(面白いんだろうなぁ……) 薫 「神原さんは、お菓子は作ったりしないんですか?」 哀  一瞬迷う。(どう答えようかな……。) 哀 (ま、いいや。)「ちょっと余裕が無くて……。」苦笑しつつ 洸  女の子たちの会話の邪魔にならないように、カウンター席に移動してコーヒーとビスコッティを注文する。 薫 「そうですか。」(忙しいのかな……?)>哀 哀 (『貧乏』ってわかってない、よね?良かった……。)婉曲表現成功 哀 「でもお料理はしますよ。」 薫 「どんな料理を?」  哀 「普通のお料理なんですけどね。カレーとか煮物とか……。」 薫 「私も一人暮らしなんで、料理はするんですけどね。なかなかレパートリーが増えないんで、つい既製品にたよっちゃって……」(苦笑) 哀 「そう。増えないんですよ……。もうちょっと本買った方がいいのかな……。」 哀 「一人暮らしって、長いんですか?」 薫 (とうさんが亡くなってから、だから)「半年……より、もうちょっと長いです」 哀 「夏頃からですか……。」 哀 (半端だなぁ……) 薫  無意識に胸のロケットに、そっと触れている。 洸 「っと、二人が話に熱中してるようなので、このまま帰りますね。おやすみなさい」二人に聞こえないように小声で>マスター 洸  そのまま、扉の音も立てないように静かに退出・・・。 哀 「引っ越すの、暑くて大変そうですね……。」 薫 「え?……ええ、そうですね」ふと洸がいないのに気がつく。 哀 (でも、かきいれどきだよね……)<夏 薫 「久遠さん、もう帰ってしまわれたんですね」 哀 「あ……。」<帰った 哀 (未熟……。) 薫 (自分の中に沈み込む癖も、なんとかしないと) 哀  紅茶をもらって、ゆっくりと飲んでいる。 薫  哀の様子をなんとなくながめている。 哀 (天神様のバイトはいいけど……来週から試験なんだよね……。) 哀  溜息1つ。 哀 「さ、そろそろ帰りますね。」 薫 「じゃ、私もそろそろ。」(息抜きもほどほどにしないと……) 哀 「ご馳走様でした。」>マスター 薫 「ごちそうさまでした」>マスター 哀 「それじゃあ、失礼します。」礼>薫ちゃん 薫 「おやすみなさい」(ぺこりと返す)>哀 薫 (桜が咲いたら……) 哀  出ていきます 薫  ロケットに手をやり、息を吐き出して出ていきます。