_E_グッドマン かつ、かつ、かつ・・・ _E_グッドマン BARにつながる通路を、正確なリズムで音を立てる足。 _E_グッドマン 少し前、BARから離れた場所に停まった車から降りた影は、 _E_グッドマン まっすぐに進む。 _E_グッドマン 誰も見ない、見えない場所に。 _E_グッドマン こつ、こつ、こつ。と白い手袋に包まれた手が扉を叩く。 _E_グッドマン ちりり〜ん♪ _E_グッドマン 少しくぐもった鈴の音とともに扉が内側から開かれた。 _E_グッドマン 「こんばんわ、マスター」 _E_グッドマン 挨拶をくれたマスターに挨拶を返すグッドマン。 _E_グッドマン 流暢な日本語である。 _E_グッドマン マスターが服と、コートを取るのをまつ。 _E_グッドマン 「どこが開いているかね?」 _E_グッドマン 苦笑したマスターに案内され、真ん中の席に案内された・・・ _5_グッドマン 「今晩は、静かですね」>マスター _5_グッドマン 「そうですか」 _5_グッドマン マスターが出す、秘蔵の逸品であるコニャックを一口。 _5_グッドマン 「・・・樽はいいようです。ただ、少し若い」 _5_グッドマン 「もう少し寝かしてから出してからのほうが?」というマスターの言葉に、静かに頷く。 _5_グッドマン 、グラスを手で少し遊ぶ。 _5_グッドマン 「そういえば、76年は入ったかね?」 _5_グッドマン 「いいえ」というマスターの答え _5_グッドマン 「そうですか・・・」と少し声のトーンが落ちる。 _5_グッドマン 「・・・・」 _5_グッドマン 、少し、短い旋律をくちづさむ。 _5_グッドマン 少しずつ、繋げていく。 _5_グッドマン フランス語の歌詞。 _5_グッドマン いや、ラテン語に変わる。 _5_グッドマン ロシア語に、中国語に、英語に、アラビア語に。 _5_グッドマン 次々と同じフレーズを口ずさむ _5_グッドマン 、日本語でも少し。 _5_グッドマン 「・・・」 _5_グッドマン 考えながら、一口グラスを。 _5_グッドマン 、指を濡らし、グラスの縁をきゅっと。 _5_グッドマン 「違いますね・・・?」 _5_グッドマン もう一口。 _5_グッドマン 、もう一度グラスを鳴らす。 _5_グッドマン マスターが、水の入ったグラスを幾つか並べてくれる。 _5_グッドマン グラスの形も、入っている飲み物も。ばらばらのもの。 _5_グッドマン 「どうぞ」という言葉に、「ありがとう」と素直に微笑むグッドマン。 _5_グッドマン 一口、飲むごとに音を調べ、そして並べていく。 _5_グッドマン グラスを、かなでていく。 _5_グッドマン 「・・・・」 _5_グッドマン もう一口。 _5_グッドマン 、また指をでまた鳴らす。 _5_グッドマン 続けて鳴らし、即興で音を作っていく(^^ _5_グッドマン 澄んだ音色が響く。 _5_グッドマン しかし、結構な酒量になっているはずだが、顔色一つ変わっていない。 _5_グッドマン 「これは、フランス北部ですね。89年もの、作り手は若いが、情熱を持っています。たぶん・・・」と地名や製作者の名前を挙げながら、音をなでていく。 _5_グッドマン 「これは、中国河南省・・・」 _5_グッドマン 「魚の声が、聞こえてきます」(^^ _5_グッドマン 、音に歌を合わせる。 _5_グッドマン ・・・・ _5_グッドマン ・・・・・・ _5_グッドマン ・・・・・・・・ _5_グッドマン 、最後のグラスを乾す _5_グッドマン 「これは、サトウキビ。日本のお酒ですね」(^^ _5_グッドマン 「さて・・・」 _5_グッドマン 「あまり待たせるのもなんでしょう。私は失礼する」 _5_グッドマン と、立ち上がり。 _5_グッドマン マスターがコートを着せ、帽子を被らせるのをまつ。 _5_グッドマン 「では、また会いましょう」 _5_グッドマン ちりり〜ん _5_グッドマン かつ、かつ、かつ、かつ・・・