ウルバヌス 軋む蝶番の金属音と木の擦れる音を響かせて扉は唐突に開かれた。 ウルバヌス 現れたのは夜をまとった様な黒いコートの少年、首には礼拝に使用するロザリオが冷たい銀の光を放っていた。 ウルバヌス 誰も居ないのを確認すると、ステージに向かって歩き出す。 S1_ウルバヌス 「マスター、ピアノをお借りしますよ」 S1_ウルバヌス 振り返ることなくマスターの了承と背で感じ取り、そっとピアノに腰を下ろす。 S1_ウルバヌス 棺桶を開くように黒い光沢のグランドピアノを開き、静かに最初の旋律を奏で始める。 S1_ウルバヌス 祈るように目を伏せて、一泊、息を吸う呼吸の静かな音が響き、そして S1_ウルバヌス 「______________________Star of Bethlehem,star on high(天にましますベツレヘムの星よ)」 S1_ウルバヌス 静かな歌い出し、黒いい髪が揺れ動き伴奏がそれを追いかける S1_ウルバヌス 「Miracle LOVE of midnight sign()」 S1_ウルバヌス 「Let your luminous light from heaven Enter our herts」 S1_ウルバヌス 「Star of happiness,star of wonder You see everything from afar.......」 S1_ウルバヌス いつもと照明も変わらないバーだが、その歌声が神聖で侵し難い空気を作り出す。 S1_ウルバヌス 少年の澄んだテナーの声は無表情のまま、まるで歌うオートマテル(自動演奏人形)かのように S1_ウルバヌス ___________ 少年は静かに歌い続ける。誰かに祈るように。/ S1_ウルバヌス …あるいは、懺悔する罪深き人々の如く。/ S1_ウルバヌス 夜は更けた。指の滑らかな動きも次第に終部を奏ではじめる。 S1_ウルバヌス 観客の居ない静かな演奏が終わりを告げると、来た時と同じく冷たい靴音を鳴らして小さな演奏者はBarを後にした。 S1_ウルバヌス グランドピアノの上には楽譜が置き去りに。"ベツレヘムの星"は次の奏者が現れるのを待つのだろう。/