__彼方 BARの扉がゆっくりと開く。 __彼方 「こんばんわー」挨拶と共に、黒尽くめの少年が入ってくる。 __彼方 店内を見渡し、客が居ないこと確認するといつもの席に着く。/ マスター 「いらっしゃいませ、おひさしぶりですね」/ _5_彼方 「お久しぶりです、マスター。いつものオレンジュース下さい。」何時もと変わらぬ笑顔で机に持たれかかるように腕をたれる。/ マスター 「かしこまりました」 マスター 「しかし、ここ数日、かなり冷えますね」 マスター といいながらオレンジジュースを出す/ _5_彼方 「そうみたいですね。ホラ、雪・・・でしたっけ?あれが降るってことは相当寒いんでしょうね。」 _5_彼方 出されたオレンジジュースに手馴れたようにストローを差込、ゆっくりとすい始める。/ マスター 「おや、今まで雪をみたことなかったんですか?」/ _5_彼方 「えぇ、写真では見たことあったんですけどね。実物はやっぱりキレイですよねぇ」まるで降り行く雪を掴むように、手を振り上げる。/ マスター 「今まで暖かいところにいたのですか、冬の寒さを考えると、羨ましい話ですね」 マスター / _5_彼方 「う〜ん。暖かいって言うか・・・寒くも無いし、暑くも無かったですね。一年中同じ環境でしたから」/ マスター 「常春ですか、四季のかわりゆく自然の美しさを考えなければ、理想の一つですね」/ _5_彼方 「ははは、そうかもしれません。昔外から来た人も『ここに住んだら春と秋以外は外に出たくなくなるぜ』って言ってましたから。」/ マスター 「たしかに。でも、夏の海や、冬のスキーもまたいいと思うのですが」 マスター / _5_彼方 「スキー・・・確か、雪山を木の板を履いて闊歩するスポーツでしたっけ?」/ マスター 「そうです。友達に誘われませんか?」/ _5_彼方 「ははは、立場上あまりここを離れるのは宜しくない・・・・・というか、落ち着かないんですよね。」 _5_彼方 「それにホラ。何をするにもお金って必要じゃないですか。」/ マスター 「騎士なら、学生としては法外なお金がもらえるじゃないですか?」/ _5_彼方 「そう・・・なんですかね?でも、なぜかいつもすぐに無くなってるんですよねぇ。不思議です。」うーんと、頭を捻る。 _5_彼方 / マスター 「金は天下のまわりものといいますからね」/ _5_彼方 「金は・・・天下の・・・・?なんですかそれ?」/ マスター 「お金は一箇所にり留まっている訳ではない。お金をたくさん持っていてもやがてはそれを失い、逆に貧しい人にもやがてお金は回ってくるだろうという例えですよ」/ _5_彼方 「ふむ。ということは、心配しなくてもその内またお金は手元に戻ってくるわけですね。」納得したように、ウンウンと頷き始める。/ マスター 「それなのに、貧しい人にはお金がこないのですよ」真顔で/ _5_彼方 「はて?どうしてですか?」縦に振っていた首を横に傾げ不思議そうに質問する。 _5_彼方 / マスター 「どうしてでしょうね。私が知りたいですよ」軽く微笑む/ _5_彼方 「ふむ、世界とは不思議ですね〜。」 _5_彼方 傾げた首を戻しながら、コップに残っていたジュースを飲みきる。/ マスター 「私からみれば、騎士のみなさんの存在も、ふしぎですよ」/ _5_彼方 「はは、皆さん凄いですよねぇ。」/ マスター 「いや、あなたも十分に凄いですよ」 マスター / _5_彼方 「そうですか?皆さんあれだけ規格外なのに皆しっかりとした『人』です。・・・ほんと世界は広いですねぇ。」/ マスター 「あなただって、しっかりした人じゃないんですか?」/ _5_彼方 「どう・・・なんですかね〜。」はははと、笑いながらストローで氷を弄ります。/ _5_彼方 「っと、それじゃあマスター御馳走様でした。」席を立ち上がると、咥えていたストローをコップに置きBARを出る。/