_9_薫 (からん)「…こんばんわ」黒のスキニーに黒い薄手のコートで入店。ふわふわした足取りでカウンターに近づく。 _9_薫 「すごい人出ですね…」桜に酔ったような頬に比べ。目は暗く沈んでいる。毎年のことだ。 _9_薫 「…そうですね、口当たりのいいお酒を」と適当な注文をして、のろのろとコートを畳み、カウンター下の棚へ。/ _9_薫 桜の色と香りをつけた梅酒のソーダ割りが出てくる。ごくごく薄め。/ _9_薫 サラミの乗ったカナッペがつまみに出てくる。 _9_薫 「…まさか、これ、馬肉じゃないですよね?」以前のことが頭をよぎり。マスターに確認の上、手を伸ばす(笑) _9_薫 もそもそと食したり。たるたるした動きでストローを手にしたり。/ _9_薫 「え?あ、大丈夫です。そんなに疲れてるわけじゃないですから」と手をぱたぱた振る。 _9_薫 「…ただ、どうにもならないことがある、それだけのことです」目を伏せて飲みのみ/ _9_薫 皿とグラスが空になり。ふと時計を見る。 _9_薫 「…あ、もうこんな時間ですね」ごちそうさまでした、とグラスと皿を返して立ち上がる。 _9_薫 「それじゃ、おやすみなさい…」花より人の多い戸外へと出て行く。/