__東護 静かに扉を押し開き、全開にはせずに中へと入る。 __東護 「こんばんは」いつも通りの落ち着いた声音でマスターに挨拶すると、適当な席に腰掛ける。 _4_東護 「大分、春らしくなって来たね。少々、春の嵐が長引いている気もするが」と言って、ゆったりとカウンターに左腕を置いて。 _4_東護 「ジントニックを」いつもの注文をすると、マスターがカクテルを作り始める様子を眺める。/ _4_東護 やがてマスターがジントニックのグラスを自分の前に置くのに軽く会釈して、右手で引き寄せ。それを口へと運ぶ。/ _4_東護 ほとんど表情は変えないが、口元に僅かな笑みを浮かべ。そのまま無言でグラスを傾ける。/ _4_東護 「そういえば……最近若槻…薫君は来ているのかな?」グラスの中身を空にし、それをマスターの近くのカウンターに置きながら問い掛け。 _4_東護 「バレンタインデーのお返しをまだしていないのでね。送ってしまった方が良いかもしれないな。…もう一杯頼むよ」そう言い、最後に注文を付け足す。/ _4_東護 「しかし、女性へのプレゼントと言うのは、いつでも考えてしまう物だな。決して気を抜く事が出来ない」と穏やかな、何処か笑み混じりで独り言。/ _4_東護 「有難う」新しいグラスを受け取り、一度からりと中身を回してから、口へと。/ _4_東護 しばらく無言でグラスを傾ける。/ _4_東護 やがて、空になったグラスをそっとカウンターに置き。 _4_東護 「御馳走様」と一言。/ _4_東護 「又、来させて貰うよ」マスターに声を掛けてから立ち上がり、静かにBARを後にする。/