有希 ドアを押して入店。 有希 服装はこの季節にしては暑そうに見えるが、汗一つかいていない。 有希 「こんばんは。今日は私が一人目かしら?」 有希 普段から注意深く彼女を見ているなら、少しやつれたのに気付くかもしれないが 有希 以前と変わらぬ微笑でマスターに挨拶をする。/ _4_有希 席に着くと、マスターがちょうど良いタイミングで、お飲み物はいかがですか、と訊き _4_有希 「えぇ、ウィスキーをロックで。」と、決まった動作のように自然に答える。/ _4_有希 丁寧な動きでグラスへ酒を注ぐマスターの仕事を無言で眺め、 _4_有希 ウィスキーを渡されると、暫く遊ぶように氷を揺らし、グラスを見つめてから、ほんの少しだけ口にふくむ。/ _4_有希 ずっと黙ったまま、唇を濡らす程度にしか飲まない有希をみて、マスターは何かしら声を掛けようと思ったが、 _4_有希 彼女の顔がむしろ少し満足気に微笑んでいるのに気付き、沈黙を守っていた/ _4_有希 不意に「お酒で潰れれば、嫌な事を忘れられるのかしら?」と視線を向けずに訊く。 _4_有希 マスターは突然の発言に驚き、そして困ったように笑う。 _4_有希 「…冗談よ。ただ、そういう話を聞いた事があったから、ふと訊いてみただけ。」 _4_有希 マスターが何か言葉を発するのを防ぐように、悪戯っぽく笑って言う。/ _6_紡生(人形) カウンターの向こう側から、ふわり、ふわりと数枚のハンカチが浮かび上がる。 _6_紡生(人形) それらは材質や色合いがばらばらだが、すべてが意志あるかのようにカウンターの上に降りると、 _6_紡生(人形) ばっと解けて舞うように絡み合い、見る間に少女の姿を模した人形を形作っていく。 _6_紡生(人形) 身長10cm強の少女の人形はくるくると回転してからぴたりと止まり、仰々しくお辞儀をしてみせた。 _6_紡生(人形) 「こんばんわ〜。わーい、琴音さんだぁ♪」 _6_紡生(人形) 紡生の声を発すると、人形はとことことカウンターを歩いてきた/ _4_有希 慣れなのか、少しぼぉっとしていたのか、平然と「こんばんは、織部。随分器用なものね。」 _4_有希 / _6_紡生(人形) 「えへへ〜。そう言ってもらえると嬉しいな。これでも一杯練習したもの。」表情が笑顔に変わる/ _4_有希 「えぇ、短期間でこれほど色々な事が出来るようになっているのだから、流石だわ。」素直に感心しているよう/ _6_紡生(人形) 「あ、琴音さんは何飲んでるの? お酒? いいなぁ〜私も〜……嘘ですごめんなさい(><)」マスターに叱られたことを思い出した風味 _6_紡生(人形) 「あ、やっぱり上達早いかな? 私もそう思ってたんだよ実は……なんとなく、昔からこういうことはできたような感じがするのよね」少し首を傾げながら/ _4_有希 「飲み物くらいなら、貴女のところに転移しても大丈夫なんでしょうけど、少し行儀が悪いかしらね?」くすりと笑って _4_有希 「遠隔で何かを操作する能力?それとも、裁縫の類が、ということかしら?」/ _6_紡生(人形) 「あーっ、飲みたい飲みたいっ。送ることできるの!?…はい、ごめんなさい…」マスターに睨まれたようだ _6_紡生(人形) 両足をカウンターの足から投げ出して腰かけて、 _6_紡生(人形) 「こういう、繊維を操る力…遠隔操作の練習を始めてみたら、すごく馴染みがある感じなの。少し不思議な感じ」手の先からリボンを織り出してみたり仕舞ったり/ _4_有希 「別に術者の家ではないのよね?」少し目線を泳がせて考え、 _4_有希 「でも、貴女の名前にぴったりで似合っていると思うわ。確か、そういう意味の漢字よね。」/ _6_紡生(人形) 「う〜ん、違うと思う。どっちの家からも勘当されちゃっているから、よくわからないけど」<術者の家? _6_紡生(人形) 「あ、うん。それは私も思うな。あつらえたみたいにぴったりだよね」ころころと笑った<紡いで生きる _6_紡生(人形) 「そういえば、だいぶ顔色良くなったね。元気そうに見える。(^^)」ころりと表情と話が変わった/ _4_有希 少し言葉に詰まるが、「…えぇ、貴女達に見舞いに来てもらったのだし。」 _4_有希 少し気恥ずかしいのか、正面を向いて、グラスを口に運ぶ/ _6_紡生(人形) 「ん・・・・・・・・」何か思案しているようだ _6_紡生(人形) そして、ふわりと浮かびあがり、有希嬢の顔の横まで飛んでいく/ _5_紡生(人形) 「えいえいっ」ほっぺたをぺしぺしっと叩いてみた(何/ _5_紡生(人形) #有希嬢のほっぺたを、です/ _4_有希 顔の横まで来たのに気付かないふりをしていたら、ぺしぺし叩かれたのに少し驚き、 _4_有希 「…え、何、どうしたのよ?」痛くも無いので片目を閉じて、されるがまま。/ _5_紡生(人形) 「ん〜・・・・・・・」 _5_紡生(人形) 「ほんとに元気なのかなーって思っただけ。元気にならなくちゃって、無理してないよね?」隣の席のカウンターに腰掛けて見上げてみた/ _4_有希 「……えぇ、大丈夫よ。無理はしていないわ。」やわらかい表情で人形を見つめ _4_有希 そしてまたカウンターの方を向くと、小さい声で「あまり心配されるのは、何だかむずがゆい気がするわ」/ _4_有希 顔が少し赤いのは、おそらく酔いのせいではない/ _5_紡生(人形) 「うん、もう大丈夫だね。あぁん、ごめんなさいごめんなさい。はい、反省っ」小声のささやきが聞こえたらしく、正座で反省のポーズ(ぉ/ _5_紡生(人形) 反省したまま動きません/ _4_有希 「反省は要らないわよ。…ありがとうね」人形を抱き上げて目の前にもってくる/ _5_紡生(人形) 「はいっ。じゃぁ、反省終わりっっととと?」素直に抱えあげられた _5_紡生(人形) 「どうしたの?」と、首を傾げて尋ねる/ _4_有希 「…いえ、何と言うか、織部から見たらおかしな話なのでしょうけど…」と言って続きを言うのをためらう/ _5_紡生(人形) 「ん? ん〜〜〜、大丈夫、笑わないからっ。言ってみて。」なぜか胸を張った/ _4_有希 「……織部って、妹のように可愛らしく感じてしまうのよね、外見ではどう見ても私の方が(年が)下なのでしょうけど。」くすくす笑って続きを話す/ _5_紡生(人形) 「そ・・・それはきっと、今のこの姿のせいだからっ。それに、さっきの琴音さんだって可愛かったよ。頭ぐりぐりしてあげたいくらいにっ」素早く反論。それはもう全身を駆使して早口で/ _4_有希 「そうかしら?…マスターに(どちらの方が子供っぽいか)比べてもらっても良いのだけれど。」と悪戯っぽく笑って返す/ _5_紡生(人形) 「そりゃぁ、本当の年では琴音さんのほうが上かもしれないけどー。」ぷーっとむくれた _5_紡生(人形) 「って、マスターさん、今笑いませんでしたか? なんか聞こえたんだけど。」じたばたじたばた/ _4_有希 ひょい、と抱き上げていたムギ人形をカウンターに座らせ、 _4_有希 「(本当、からかいがいがあるわね。)」余裕たっぷりな表情でグラスを口に運ぶ/ _5_紡生(人形) 「む〜、琴音さんが元気になったのはよくわかりましたよ。もうっ…」プイっと顔をそむけてみた/ _4_有希 「…ところで、この前のお詫びは何が良いかしら?」ぽんぽんとムギ人形をたたいてなだめつつ/ _5_紡生(人形) くるりと振り向いて _5_紡生(人形) 「この前のって?」小さく頭を傾げて問い返した。素でわからないらしい。/ _4_有希 「転移が上手くいかなくて、遊びに行けなかったでしょう?」 _5_紡生(人形) 「あれは私の力のせいだから、気にしなくていいの。」両手を振って/ _4_有希 「何か代わりになるような事が出来ないかと思っているのだけれど。…贈り物とかお茶会とか。」/ _5_紡生(人形) 「ううん、本当に気にしなくて良いから。…迷惑かけちゃったのはボクの方だから」/ _4_有希 「駄目よ。織部の弟にも期待させてしまったしね」とさも当然の如く続ける/ _5_紡生(人形) 「それじゃぁ、今度また遊びに来て。雅綺とも遊んであげてくれると嬉しいな」にっこりしながら/ _4_有希 んー、と少し不満そうにしながら「それでは普通過ぎるのではなくて?…お詫びにならないような気がするけれど」 _4_有希 「…貴女がそうして欲しいというのなら、勿論そうするのが良いのでしょうけどね」肩をすくめつつ/ _5_紡生(人形) 「そういうのが一番うれしいの。考えてもみて。あの山の中で毎日草むしりして暮らしているのよ。だれか遊びに来てくれなくちゃ、まいっちゃうわ」ちっちっちっと手を左右に振りながら/ _4_有希 しばらく思案して「…確かに織部の生活の苦労をよく考えれば、そうなのかしらね。」と妙に真面目に納得/ _5_紡生(人形) 「そうなの。毎日畑の世話をしてご飯作って洗濯して弟に宿題やらせて……それがずーっと続く上に、今は弟が夏休みで一日中家にいるのよ」 _5_紡生(人形) 「だから、普通に遊びに来てくれるのが一番なの」にこりと笑い顔で/ _4_有希 「…分かったわ。すぐには無理でしょうけど、夏が終わるまでにはまたお邪魔するわ。」 _4_有希 と、ちびちび飲んでいたウィスキーのグラスも空になる/ _5_紡生(人形) 「うん、ありがとう。きっと雅綺も喜ぶと思う」 _5_紡生(人形) ふと時計を見て、「あ、もうこんな時間なんだ。じゃぁ、これで戻るね」カウンターの上で立ち上がり、ぺこりとあいさつ/ _4_有希 「えぇ、私も今日は失礼するわ。おやすみなさい」席を立ちつつ、挨拶を返す/ _5_紡生(人形) 「おやすみなさい」とあいさつ _5_紡生(人形) 挨拶を終えると、人形は解けてハンカチに戻り、カウンターの向こう側へと飛んでいく/ _4_有希 人形が解けてゆくのを見ると、有希はドアへ向かって歩き出し、店を出た/