_静 カランコロンとドアベルを鳴らして、ライトグレーのジャケットに白いシャツとパンツ姿の静がフラリと入ってくる。 _静 「こんばんは〜」マスターに声を掛けてから、適当な席に座る/ _6_静 「ワイルド・ターキー。8年物をロックで」淡々とした調子で注文、グラスに注がれる琥珀色の液体を見つめながら、昨日の事を考える/ _6_静 (……また壊した……この手は、何かを壊す事でしか他人の役に立たないんだな……) _6_静 グラスを揺すり、氷の音を聞きながら、自分の手を見つめる/ _6_静 「……終わった事に何時までも気を向けてちゃ生きてけないね……コイツで全部忘れてしまおう」呟いて、ターキーを喉に流し込む/ _6_静 「あ〜ダメだ……私にはこういうの似合わないね。マスター、おかわり」グラスを空にして差し出す。その表情はいつも通り軽い笑み/ _6_静 ジャズの音色に身を任せるように、一人静かにバーボンのグラスを傾ける/ _6_静 空のグラスがカウンターに置かれ、カラン、と氷がグラスの中で音を立てる。 _6_静 「さて、ほんのちょっとでしたけど御馳走様でした。また来ます」マスターにそう声を掛け、席を立ってドアへ向かう。 _6_静 ドアベルをソッと指で押さえ、静は夜の帳へ身を滑らせていった。/