_8_天音 かららん、とベルの音とともに扉が開き、店内へ。デニム地のジーンズにグレイのシャツという色気のない恰好。 _8_天音 ひどく不機嫌そうに眉を寄せた表情で、すたすたと店内へ歩いてくる。/ _8_天音 マスターに一礼してから、適当な席に腰かけた/ _8_天音 「濃茶と、わらび餅を…わらび餅は素のままで。」幾分投げやりな口調で注文/ _8_天音 「はぁ…」待っている間、何かを思い出したようにわずかに首を振り、溜息一つ/ _8_天音 はっと表情を引き締めて背筋を伸ばし、厨房の方をじっと見つめている/ _8_天音 マスターが出てくる数秒前に視線を手元に落とし、出てきてから、再びマスターを見て _8_天音 「ありがとうございます」と、お茶とわらび餅を受け取った。/ _8_天音 わらび餅をもぐもぐ。お茶を一口。 _8_天音 表情は相変わらず険しいまま、目を閉じて口だけ動かしている/ _8_天音 同じような調子で、餅を口に運んでは、お茶をいただく/ _8_天音 そして最後にお茶を飲み干すと、音をたてないようにカウンターに器を置き、「ごちそうさま」と小さく一礼/ _8_天音 スッと席を立つとマスターに一礼し、店を後にした。/