_静 カラコロと軽やかにドアベルを鳴らして来店。ダークグレーのスーツ姿に、肩から大きな機材カバン _静 「こんばんは〜。ちょいとお邪魔しますよ」のんびりした口調でそう言うと、適当に席を選ぶ/ _6_静 「さて……そんじゃ、今年も例の時期ですし、さっそく赤白グラスで一杯ずつお願いしますね。っと、付け合わせはチーズで」適当に注文して _6_静 出された二つのグラスを一つずつ、灯に透かし、香りを嗅ぎ、一口ずつ喉に流し込む/ _6_静 [ _6_静 「……にしても、毎年この時期は割と人来ませんよねぇ。そろそろ年末だから、と言われりゃそうなんですけどね」チーズを摘みながらワインをチビチビ/ _6_静 「こっちはありがたいことに、日干しにならない程度には仕事貰えてますから。こっち絡みはここんとこご無沙汰ですが……ま、あんな体たらくじゃねぇ」自嘲する/ _6_静 「……っと、もう空ですね。じゃあ、Turkeyをボトルで。あれば12年ものを」注文してしばらく、濃厚な琥珀色のウィスキーが入った瓶と、空のグラスが置かれる _6_静 「いやー、やっぱりここに来れば確実に出てきますねぇ」相好を崩しつつ、グラスにウィスキーを注ぐ/ _6_静 ジャズの音色に軽く指でリズムを取りながら、琥珀色の液体を喉に流し込んでいく/ _6_静 自分のペースでウィスキーを飲んではグラスに注ぐ。静かな雰囲気に身を委ね、心安らかに酒を飲む/ _6_静 「……ちょっと早いですけど、今夜はここで失礼します。年内にはもう一回くらいこれるかな?なつもりでいますので。それではマスター、お休みなさい」 _6_静 荷物を纏めると、全然酔いを感じさせない足取りで店を出ていった。/