有希 “珍しく”ドアを開けて、入ってくる 有希 服装は今時の大学生風、割と落ち着いた感じのファッションだ 有希 「こんばんわ〜♪」 有希 「・・・さてさて、今日は何が釣れるかなぁ?」浮かべる笑みはその格好とちぐはぐで不気味ですらある/ 有希 珍しく普通にブランデーをオーダーし、からから、と氷を鳴らして遊ぶ/ _煉 押し開かれた扉、剣呑げに顔を歪めて頬に血を滲ませたまま、そのまま周囲に目を向けるでもなく、 _煉 出入り口に一番近い席へと腰を下ろしたなら、不躾な態度で「珈琲、」と注文を述べて/ _7_有希 「やぁやぁ、れんれんじゃないか」 _7_有希 あえて距離をとって、席に座ると _7_有希 「ん?」 _7_有希 「どーしたぃ?その血は?」 _7_有希 「まさか、もうヤッてきたのかい?」 _7_有希 「お盛んだねぇ」「紹介してほしいもんだなぁ」ニタニタと笑い、ブランデーを口に含む/ _9_煉 「…手前か」 _9_煉 笑みを浮かべた相手の顔を見て、漸く気づいたように手の甲でそれを拭って _9_煉 「……ハッ、相手にゃァ困ってねえんじゃねェのか?」/ _7_有希 「愉しみは多いに超したことはないでしょ?」 _7_有希 「キミが」 _7_有希 「・・・面白い殺戮(ショー)を見せてくれる、ってなら」 _7_有希 「ご相伴に授かろうかと」「そう思っただけさ」/ _9_煉 「ソイツは御愁傷様。」 _9_煉 その口振りに目を細めたなら、差し出された珈琲を手に取り _9_煉 「手前の餌になるようなゲテモノは御免だってェの。」/ _7_有希 「んー?」「そーかなぁ」 _7_有希 「私にはれんれんから死の臭いがぷんぷんするんだけど」 _7_有希 「そっかぁ、気のせいなのかぁ」 _7_有希 ほうほう、と一人ごちてまた一飲み/ _9_煉 「死の臭いだァ?」「そんなモン、くだンねェほどに有り触れた場所だろォが」 _9_煉 「満足したいなら独りで**ってな。」/ _7_有希 「そうかそうか」 _7_有希 「キミもこっち側の畜生か」 _7_有希 「嬉しいよ」 _7_有希 「ようこそ、邪の道へ」 _7_有希 「怖くないから、そのまま足を踏み出してご覧?」 _7_有希 「もっと愉しくなるぜ?」 _7_有希 にっこり、と無垢な少女のような笑顔で、冒涜を口にする/ _9_煉 「Shit, 」 _9_煉 相手の言葉を嘲笑し、珈琲を飲み下して _9_煉 「愉しい……ねェ。」 _9_煉 「ああ」「全く以て、」 _9_煉 「興味ねェなあ―――、」/ _7_有希 「自分に嘘をつくのはよしなよ〜」 _7_有希 「生業にしてるんじゃないのかぃ?」 _7_有希 「好むと好まざるとにかかわらず、とか」「興味ない、とか」 _7_有希 「そんな言葉で自分を偽るつもりかな〜♪」 _8_有希 すっと、間合いを詰めるかのように席を移動し、隣に座る/ _9_煉 「偽るだァ? その必要が、どこにある?」 _9_煉 接近してくる相手を僅かに睨みつけて、吐き捨て/ _8_有希 「怖くないぜ、吠えるなよ?」張り付いた笑みのまま、顔を寄せ _8_有希 「殺戮に、キミの心はどう揺れた?」 _8_有希 「自分のやったことを恐れて、後悔したか?」 _8_有希 「内なる快楽の声が聞こえたか?」 _8_有希 「それとも、そこらを通る自動車の音と同じように、断末魔を聞いたかい?」 _8_有希 / _9_煉 「………、」 _9_煉 その言葉に僅かな沈黙を返し、そして小さく鼻で笑って _9_煉 「……さァな。聞いてなかった。」/ _8_有希 くすくす、と笑って、身を引く _7_有希 「・・・愛らしいなぁ」うっとりした表情で _7_有希 カラになったグラスを回して遊ぶ/ _9_煉 「……あ゛ァ?」 _9_煉 相手の言葉の意味が理解できない。そういわんばかりに、眉間に皺をよせて/ _7_有希 「勘違いしてもらってもよろしくないし言っておくけど」 _7_有希 「キミに危害を加えるつもりなんて、これっぽっちもないんだよ〜?」 _7_有希 「れんれんに喜んでほしいだけだよ、私は」 _7_有希 「見込みありそうな子だから、思わず本音が漏れちゃったのさ」 _7_有希 <愛らしい/ _9_煉 「………ハ、」 _9_煉 「そりゃァ、御恩情をどォも。」 _9_煉 「―――余計なお世話だ、クソッタレ」/ _7_有希 「えー、そんなつれないこといわないで☆」 _7_有希 あ、マスター、ブランデーもう一杯、と場を緩ませるかのようにオーダー _7_有希 「片想いかぁ、せつないなぁ」くるくるとかみを手でいじりながら/ _9_煉 「思ってもいねェようなこと吐かしてンじゃねェつゥの、」 _9_煉 視線はもう相手にはなく、すでに正面に向いており、マグを空にして _9_煉  / _7_有希 「酷いなぁ、れんれんは」 _7_有希 鼻をすするような音と、ふぅ、と溜息をもらし、顔を背ける/ _7_有希 「・・・」 _7_有希 「・・・こういうとき便利だよねぇ、この肉体(からだ)☆」 _7_有希 ブランデーを一気に飲み干し、くすくす、と/ _9_煉 「何だァ、喜んで欲しかったのかァ? 諸手を上げてよ。」 _9_煉 頬杖をついては、事情を知らない故に理解できない台詞を口にした相手に訝しげな視線を投げ/ _7_有希 「ほら、男子なら多少は興味あるかなー、と」 _7_有希 自分のブラウスの胸元をくぃ、と指で開けて、自分の胸を見ながら _7_有希 「押してダメなら、引いてみろー、ってか♪」くすくす/ _9_煉 その行為に対して、目を数度しばたかせたなら _9_煉 「……何の意味があンだ?」 _9_煉 誘惑する意味が分からない。と、顔に書いてある程の疑問のようで/ _7_有希 「んー?」「もしかしてソッチの方で?」 _7_有希 くすくす、と笑いながら「篭絡の意図を訊いてるなら、さっき言った通りだぜ?」 _7_有希 「愉しみを授ける」「それだけさ」 _7_有希 「・・・あんま最初から刺激が強くても何だし、そろそろ止めにしとくよ」 _7_有希 「またね?」 _7_有希 ふっ、とその場から姿を消す/ _9_煉 「………、…分からねェなァ」 _9_煉 「何が愉しいんだか―――。」 _9_煉 消え去った姿。彼女が元いた席から視線を離すと、そのまますくりと立ち上がり _9_煉 「…愉しみ、ねェ。」「最期に感じたのは、」 _9_煉 「何時だったか。」 _9_煉 小さくぼやいた言葉は消え入るようなもので、そのままいつものように扉を押して去ってゆき/