有希 「こんばんは、マスター」にっこりと笑顔で/ 有希 ハーフパンツに薄手のカーディガンだけ、という姿。−おそらく能力で部屋からドアツードアで来たのだろう/ 有希 「まだ誰も居ないのね、今日はお酒、頂くわ。」リラックスした雰囲気で席に座る/ yu- -> _5_yu- _煉 年始の準備を粗方終え、ふらりと息抜きがてらBARに立ち寄り、からんと鳴ったドアベルを聞きながら入店し。 _煉 中を見回すように視線を向ければ人が少ないのを見ては誰がいるか、までは確認することなく適当な席で腰を下ろして/ _Len -> _7_Len _5_有希 「あら、こんばんは。」「最近よく会うわね」にっこり笑いかけ、受け取ったウィスキーグラスを掲げて見せる/ _7_煉 声をかけられ、漸く相手を認識したかのように視線を移せば、「……あァ、」とだけ短く返し、いつも通り珈琲を注文し/ _5_有希 「先日はお互いお疲れ様だったわね」「…それともあれくらい、どうってことなかった?」覗き込むように頭を傾げ、無邪気な笑みを向ける/ _7_煉 「別に。」「――普段通りだ」 他愛無い、とばかりに無邪気な笑みを見せる相手を横目で見ながらも差し出された珈琲に口をつけ/ _5_有希 「そっか、なんか手慣れてたもんね、彼女を葬るの」視線を漂わせ、思い出すような仕草/ _5_有希 「家が神社、なんだっけ?」/ _7_煉 「――鴉丸神社。」 表情はやはり変わらず、肯定する代わりに、己の家の名を告げ/ _5_有希 「御父上が神主さん?」「あー、若いけど煉くんが、ってのもありうるかぁ」/ _7_煉 「親はいない。」相手の言葉を半ば遮るようにして言い放てば、二の句を紡ぎ。「神主はオレだが、神事は大宮司が基本、仕切っている」 / _5_有希 「…あー」まずいとこに話振ったか、と顔に出て 「ごめんなさい、思い出したくないようなことを…」/ _7_煉 「……別に。“アレ”が生きていようが、生きていまいが――」 _7_煉 「――オレには興味がない。」/ _5_有希 「……」予想に反した言葉がかえってきて、止まる/ _7_煉 「アレは死んだ。それは事実だ」「だが、それでオレが不都合になることもない。」 淡々と、本当に何も感じていないかの如く言葉を重ね/ _5_有希 「…御両親と仲が悪かったの?」 「それでも、跡を継いでいるのよね」ちょっと困ったような顔で/ _7_煉 「……I Don't know.」 _7_煉 「アレも、オレも、互いをモノとしてしか見ていなかった。そこに仲だの何だのは、存在しないだろう。」 _7_煉 「使うか、使われるか。」「それだけの間柄だ」/ _5_有希 「…そっか」…何となく分かる。王家ならその人よりその立場や血統を見る _5_有希 「キミが、当然のように受け止めてるみたいだし、私も気にしないっ」笑ってみせ、ウィスキーを飲み干す/ _7_煉 「……」 珍しく自分のことを話したせいか、僅かに視線を下方へと傾けて何かを思考するように沈黙するものの、 _7_煉 やがて目を伏せ、また一口珈琲へと口をつけて/ _5_有希 「……ふぅ。」そこそこの量の酒を一気に飲み干し、一息。「…そういう『モノ』って割り切ってるつもりでも、ふとした時に別の感情が出てきちゃうのよね」 _5_有希 それは自分への呟きではあったが、明らかに煉へ向けた言葉/ _5_有希 「期待されてる役割があって」「…というか、自分である前に、その役割をこなすための存在として生み出されたのかもしれないけど」/ _5_有希 「肉親、って言葉の妙というか。何か言い表し辛い感情は自分の中であるのよ、多分」間違いなく独白であろうが、何故こう言うのかは想像に難くない/ _7_煉 「――……は、」 視線を落としたまま小さく笑い声を漏らしては口許を歪ませ「……所詮、オレはオレに変わりない。幾ら役割で歪められているとしても。」/ _5_有希 「神主として、跡を継いだのも、役割じゃなくて『キミ』?」ふっ、と笑って尋ねる/ _7_煉 「……ああ」「オレは、それを選んだ。」「――“鴉丸煉”を、選んだ。」 口調はあくまで淀みなく/ _5_有希 ふふっ、とその返事を聞いて嬉しそうに笑う 「カッコいいじゃない、素敵ね」「『所詮』なーんて、自分を卑下しないでよ」/ _7_煉 「……Shut up」 暫しの沈黙の後、チッ、と小さく舌打ちを返してはココアシガレットをポケットから取り出し、不意に咥えて/ _5_有希 「ごめんごめん」口ではそう言いながら悪びれる様子はなく「マスター、もう一杯頂戴」空のグラスを掲げ/ _7_煉 ガリ、とココアシガレットの先端を噛み砕きながらもまだ僅かに残った珈琲の水面を見つめ、明朝からの予定を思い出しては僅かに表情を歪め/ _5_有希 「ありがとう」グラスを受け取り、一口 _5_有希 「…鴉丸煉のことはよくわからないんだけど。」と前置いて「自分の意志で進んでいく者は、それだけで価値があるものよ」 _5_有希 「…? なんかマズいこと言った?」歪んだ表情に笑って首を傾げ/ _7_煉 「……価値、ねェ」 僅かに嘲笑を込めた反復を返し、もう一口珈琲に口をつけたなら、問いかけには「否」とだけ応えて/ _5_有希 「ええ。」主張は固いようで。 「煉くんは自己評価が低いんじゃないかと私は思うんだけど」/ _7_煉 「……自己評価?」 眉をひそめ、眉間に深く皺を刻みながらも自覚のなかった言葉に目を細め/ _5_有希 「うん。自己評価。」繰り返す _5_有希 「自分の器というか、領分みたいなものを定めて、そこからはみ出さないようにしてる感じに見える」 _5_有希 「所詮、とか、良くも悪くも、とか、これが自分の、みたいな感じの言葉をよく言ってそう」 _5_有希 無垢、というか、ここまでいくと馬鹿かと思われかねない直球な言葉の数々を平然と/ _5_有希 「どうして?」 興味があるんで、教えて? と好奇心旺盛な子どものような目で/ _7_煉 「………それは、」 自分でも認識していなかったそれらに、僅かに言葉が途切れ/ _5_有希 「・・・・・・うん」静かに相槌をうつ。無理に言葉を紡がせるようでもなく、ただ、言葉を待つように/ _7_煉 「……“コレ”は、オレの居場所じゃ、ない―――…」 _7_煉  普段の口調とは違う、僅かに小さな声が洩れるように吐き出され、 _7_煉 しかし不意に目を閉じると、「―――…だが。どうでもいい、ことだ」と突っ撥ねるように言葉を上に重ね/ _5_有希 「…どういう−」コレ、とは? 居場所、って? かえって混乱したかのような状態で疑問を口にするも _5_有希 次の言葉でその機会は塞がれたことに気づく。/ _5_有希 「……そっか。」少し寂しそうに笑って。 「よくわからないけど、キミがそれを選んでいるのなら、それでいいんだろうね」否定はしない/ _7_煉 「……オレは目的の為に、此処にいる。」「その為なら何を厭うつもりもない。」 _7_煉 寂しげに笑う相手の顔を見据え、自分にさえも言い聞かせるように言葉を重ねると席を立ち _7_煉 「望むのは、ただ一つ。」 _7_煉 「I Need More Power.」 _7_煉 「――…それだけだ。」 _7_煉 そう言い切ると共に傍らにかけていたコートを乱雑な仕草で手に取り、ココアシガレットを噛み砕いて振り返ることもなく、その場を立ち去り/ _5_有希 「あ、……。」言葉は宙へ舞い _5_有希 誤魔化しだと、強がりだと、否定できようか? _5_有希 否定できるはずもない。 _5_有希 一瞬見えた、儚げな言葉は、多分彼がそうしてでも守りたいものがあるからだろう、と _5_有希 有希は自分がかつて抱えた葛藤と似たような苦悩を見た気がして、言葉をうまく紡げなかった _5_有希 「ごちそうさま。おいしかったわ」マスターに残ったグラスを返し、その場から消えた/