_煉 からんとドアベルの音を響かせ、扉を開くと冷たい風を伴って、店内へと足を踏み入れ。 _煉 静かな店内に視線を投げると、そのまま黒いコートを傍らに携えて適当な椅子に腰を下ろし/ *nick _Len → _3_Len 有希 「こんばんはー」颯爽とお土産袋を抱えて登場/ 有希 「仕事で貰ってきたので、お裾分けですよ」マスターに笑いかけ 温泉まんじゅうをわたす/ _3_煉 いつものように珈琲を注文し、ふと声に視線を動かすと見知った顔に目を細め、そのまま視線を戻し/ *nick yu- → _4_yu- _4_有希 「煉くんは、甘いモノは好き?」一箱開けて、す、と温泉まんじゅうを取れる位置へ/ _3_煉 「………、」 _3_煉 人から物を貰う、という行為に先日の痛い思い出が脳裏を過ぎるものの、暫しほぼ無表情で箱を眺め、 _3_煉 無言のまま、そこから手を伸ばし、一つだけ手にとって/ _4_有希 「普通だけど、それなりに美味しいでしょ?」笑って/ _4_有希 「ってことで、私も食べようかな」「お茶頂戴ね」自分で持ってきた饅頭をひとつ取って/ _3_煉 「……正月、か」 世間では休みだったんだったか、とぽつりと零せば、ぱく、と一口かじり/ _4_有希 「もう6日…じゃなくて7日だけどね」<正月 「御実家は忙しかった?」/ _3_煉 「………この時期に忙しくないと、まずいだろう」/ _4_有希 「まぁ、それはそうなんだろうけど」くす、と苦笑して「とはいえ、働いている側としては大変でしょう? …お疲れ様。」ずず、とお茶を一口/ _3_煉 「もう馴れてはいるが」 そのまま最後の一口分のまんじゅうを口に放り込み/ _4_有希 「歳若いのに関心なものね」微笑んで _4_有希 「裏の仕事でこのところそれどころじゃなかったけど」「…そろそろ私も働かないとなぁ〜」頭をかき/ _3_煉 「手前……無職か」 ずば、と切り捨てるように/ _4_有希 「あはは…痛いトコ突いてくるなぁ、煉くんは」困った顔で笑い _4_有希 「もともと此処の者じゃないからって、今まで誤魔化してきたツケだからね」「返す言葉もございません」/ _4_有希 といいつつも、笑みを浮かべたまま新しい饅頭の包みを剥がす/ _3_煉 フン、と困り顔で笑う相手を横目で見ながらも、珈琲に口を付け _3_煉 「……宛てはあるのか」/ _4_有希 「有るといえば有るけど…」「無いかなぁ」ちょっと悩んだように目をあげ _4_有希 「ほら、裏の顔を使えば、なんとでもなるでしょ」「それこそ、マーリンに頼めば。」/ _3_煉 「………あァ、」 僅かに虚空を見上げ、眉間に皺を寄せると相槌を打ち/ _4_有希 「戸籍やらはお願いするけどね」「…あんまりそればっかりも、ねぇ」/ _3_煉 「『利用出来るものは、利用すればいい』」「そういうモンじゃァねえのか」 _3_煉 淡々とした声音であくまで利害関係であるとそう口にはするものの、目を細め/ _4_有希 「そうね…」うーん、と手を顎にあて/ _3_煉 何やら悩む様子の相手を急かすでもなく、珈琲を飲み下し言葉を待ち/ _4_有希 「縁故の無い身で、拘りも無いのが何より問題、か」 _4_有希 「貴方達と違って、ここに居るのは魔獣が居るから」 _4_有希 「なら、表の仕事なんてどうだっていい、とは思うんだけど…」 _4_有希 「…なんかね、羨ましい、いや、もったいない気がして」ふっ、と笑う/ _3_煉 「……羨ましい…?」 その発想が理解できないのか、言葉を繰り返し/ _4_有希 「貴方達は当然だけど、表の仕事を持ちながら、魔獣討伐している」 _4_有希 「別にどっちがオマケ、じゃないでしょ?」 _4_有希 「それを見てたら、ね」「…仮初の間のこと、なんかじゃなくてちゃんと向き合ってやるべきことをやりたいな、と」/ _3_煉 「……随分と“人間らしい”思考だな」 目を僅かに伏して/ _4_有希 「…そうかも」 _4_有希 「でもさ、最近思うんだけど」「『そんなの』、多分大した違いじゃないのよ」/ _3_煉 「……?」 かた、と空になったマグをカウンターに置き、視線を相手に流して/ _4_有希 「人間とか、闇のものとか、どこで生まれたかとか」 _4_有希 「…だから一緒に戦ってるんでしょ?」/ _3_煉 「――……さて、な」 _3_煉 「オレと手前の目的が違うように、どう思おうが、それは個々次第だ」 _3_煉 「手前の考えが的外れであろうと、」「なかろうと」 _3_煉 「魔獣を倒すこと以外、……明確な共通事項はねェんだからな」/ _4_有希 「うん、そうよ」 _4_有希 「だけど・・・」 _4_有希 「・・・そう考えたほうがなんだか楽しくない?」笑って _4_有希 「魔獣を倒すこと、以外でも」「同じ部分が、分かり合える部分があると思ってたほうが、さ」/ _3_煉 「……分からねェな、」「…それに、大した興味もない」/ _4_有希 「そう?」 _4_有希 「じゃ、興味が湧くような奴にならないといけないかな」ははっ、と笑う _4_有希 「…今のキミの興味のある部分が終わって」「…それで燃え尽きずに広がっていくといいね」/ _3_煉 「………」 その言葉に僅かに息を止め、深く息を吐き出すと目を閉じ _3_煉 「―――どうだか、…な」/ _4_有希 「ふふっ、クールだなぁ、鴉丸煉は。」お茶のおかわりを希望しー _4_有希 「何に興味があるんだか…って、」「同じような質問したっけ、前…?」/ _3_煉 「……手前にされていようと、なかろうと」「その質問は、聞き飽きた。」 _3_煉 スタンスの一つでもあるからか、割とされやすい質問に眉間へ皺を寄せ/ _4_有希 「あはは…」苦笑して「まぁ、各々背負うモノはあるし、それが死んでも他には話せないってこともあるよね」 _4_有希 「でも、私は知りたいんだよね」「…教えてくれない?」まるで悪びれず/ _3_煉 「オレが興味を持ったモノ」「誰に、何度聞かれようが、それが答えだ。」 _3_煉 ラストオーダーの珈琲を手に取り、吐き捨てるように/ _4_有希 「だーから、それじゃ答えになってないってば」「…まぁ、いいや」 _4_有希 「多分分かって貰えないと思うけど」「私は一緒に戦う騎士を仲間だと思ってるんだよ」 _4_有希 「ギブ・アンド・テイク、じゃなくて。」「…まぁ、ちょっと前までそう思ってなかったけどさ」 _4_有希 「魔獣を倒す理由があって、勿論それは変わらないけど」「今は同じくらい仲間を生かしたい、ってその目的もあって戦ってる気がする」/ _4_有希 「だから、興味が色々と湧いてきちゃうのよ」「…ウザったいだろーけど、暫くは治らないと思うから、よろしく。」/ _3_煉 「前々から、思ってはいたが」「……面倒臭ェ奴だな、手前」 眉を顰め/ _4_有希 「あはは、だからそういってるじゃない」笑って<面倒くさい/ _4_有希 「煉くんは、不幸になりたがってる感があるよね」「まだ、大して話してないけどそんな印象。」/ _3_煉 「……別に」「オレが考え得る上での、最善を選んでいるつもりだ」 _3_煉 「求める結果は、ずっと、変わらない」 言い切って、珈琲を飲み干しマグをカウンターに置き _3_煉 / _4_有希 「んじゃ、求める結果、にはキミの幸せがあんまり含まれてない、ってことかな」 _4_有希 「…キミは一人で生きてるんじゃないんだからさ……」続きの言葉を飲み込み、席を立つ _4_有希 「さて、ご馳走様でした、また。」マスターに挨拶して、扉へと歩く/ _3_煉 「……オレは、…そうだな。」 _3_煉 「―――いっそのこと、野垂れ死ねばいい。」 _3_煉 独白、自嘲気味に口許を歪ませて笑うと、立った相手を見るでもなく、己もまた立ち上がり/ _4_有希 「そりゃ。」瞬時、煉の目の前に現れ、平手打ち。 _4_有希 「親兄弟、恋人、親友、そのどれでもないけど」 _4_有希 「貴方が死んだら、私は悲しい。」「…だから、それは怒るよ」 _4_有希 二の句を継がせず、笑ってその場から消える/ _3_煉 頬を打たれ、暫し己の中の時間が、止まる。 _3_煉 最早紡ぐ言葉もなく、その時間すら与えずに消え去った相手のいた場所を見据え。 _3_煉 手の甲で打たれたところをごまかすように一つ擦ると、 _3_煉 「……It sucks.」 _3_煉 そう吐き捨て、コートを掴んでそのまま店の外へと立ち去って/