流 カランと音を立てたが、扉の方には姿が見えない。気付けば、席に座っていた。/ _0_流 「こんばんは、マスター。」と、少し疲れたような声で、日本酒と枝豆を頼む/ _0_流 「先週来て、また今週もお邪魔させて頂きますね」ニコ、と笑うものの、溜め息を零す。 _0_流 「別に学校で何かあった、って訳じゃ無いんですが、ただちょっとね。」 _0_流 「・・・先週の、真昼と有希さんの会話が、ちょっとばかり気になって。でも、多分深入りしちゃだめだと思うんです。」 _0_流 「まぁ、何もなければいいんですが、ね。」グイッと一気に飲み干し、枝豆を口にする/ _0_流 「あ、そうそう。明日から僕実家に帰るんです。だからそのご挨拶も兼ねて来たんだけど、いませんね。」 _0_流 「実家は、岩手です。まぁ結構田舎っちゃあ田舎かなぁ」 _0_流 「でも、伝承とか、風景が好きなんです。T字路のところに着飾ったマネキンがあって、帰る度に違うんですよー」 _0_流 「例えば、ビール瓶を持ってたり、スイカを持ってたり。結構面白いものです。」 _0_流 「伝承で、一番興味があるのは遠野物語っていう民話、って言ったらいいのかな。その中にもある【オシラサマ】がちょっと。」 _0_流 「オシラサマの話よく分からないけど、仕えてた人は、オシラサマが家に居る、って言ってたから。」 _0_流 「・・・家は、今頃沈んでるかな。。水が増水してなければ、いいんですが。」 _0_流 「・・・あのお酒、結構強い奴ですか?なんか、フラフラする…?」目を瞑り、壁に凭れかかると、力が抜けたのか、あの本当の姿を現す/ _0_流 「・・・まぁ、たまにはお酒の力借りるか。」 _0_流 「実はさ、実家に戻って確かめたいんだ。」と、水を頼み、少しだけ飲む/ _0_流 「・・・なんで、俺の家だけを狙ったのか。それとオシラサマの姿を。」 _0_流 「だって、あの頃は周りに家があったし、俺の家を狙う理由は、裏とか、闇とか良からぬ事をしてる奴らが居るならわかる」 _0_流 「・・・魔獣は、なんですかね。闇、の物?」 _0_流 「・・・でも、人型なんですかね。一回も見たことがないから、何も言えない。」 _0_流 「…ただ、俺も父も皆、オシラサマの云う通りにするしかなかったのかな」 _0_流 「・・・実はさ、実家が、マヨヒガだった、っていう話があって。」 _0_流 「・・・ま、そこに神様でもいたら偉い話だよね。」 _0_流 「きっと、冗談だろうけど、冗談とは思えない。」 _0_流 「・・・んー。明日の支度もあるからなぁ。。」 _0_流 「・・・今日は、この辺で失礼しようかな。もしかしたら、来るかもしれないし。多分ねぇ、僕はどこにでもいるよ。多分。お彼岸だから彼岸が終わったら。ね」 _0_流 「それじゃあ、早いけどおやすみなさい。」と、気付けば水も枝豆もなく、一瞬風が吹いたと思ったら、彼はいなかった/