_3_宵 カラン、と音を立てて、1匹の猫が入ってくる。 _3_宵 「こんばんにゃー、マスター。こっちは寒いにゃー」 _3_宵 もこもこしたコートをぬいで席に座り _3_宵 「アールグレイとサンドイッチくださいにゃ」/ _3_宵 「にゃ?あー試験?私立は終わったにゃ。結果は今週末にくるよ」サンドイッチもぐもぐ/ _3_宵 「国公立が今月末と来月にゃ。それまで勉強ばっかだにゃーorz」つっぷしつつ _3_宵 「ま、しょうがないんだけど…え、センターの結果?僕もあーちゃんもギリギリ8割」/ _3_宵 「にゃ?あーうん。さすがマスター」紅茶をチビチビ飲みながら _3_宵 「別に受験の愚痴いいに来たわけじゃないんだよね。 _3_宵 こう、さ。色々吐き出したい時あるじゃん。聞かれたらまずいけど、吐き出したい。そんなん。 _3_宵 まーだからこれからいうのはただの意味のない猫の戯言。言葉の認識すら必要としないもの」/ _3_宵 「桜がね、あるんだ。群生じゃなく、単独の _3_宵 たった、1本だけの。 _3_宵 空は雲も星もまったくない、月だけが輝く夜空でね _3_宵 桜の周りも何もなくて、凄く綺麗にさいてるんだよ。 _3_宵 でさ、桜ってね…散る瞬間が、一番綺麗なんだ。 _3_宵 咲いて、咲いて、命の限り咲き誇って _3_宵 跡形もなく、舞い散る。 _3_宵 誰の記憶にも、残らない、そんな桜がね _3_宵 月は誰よりも愛しくて、けれど、まったく干渉できない。 _3_宵 見てるしかない。 _3_宵 そんなね、どうしようもない、月と桜の _3_宵 戯言だよ」/ _3_宵 「鏡は互いに触れれないってね。マスター、おかわりくださいにゃ」/ __ムツキ カランカランとドアベルを鳴らし入店「こんばんはー」/ _3_宵 「にゃーむーちゃん、こんばんにゃー」笑顔で/ __ムツキ 「あ、宵さん」小さく手を振りながら笑顔を返しそのまま、たったったっと駆け寄り、 __ムツキ 一瞬の間をおいて抱きついて「ただいまです♪」/ _3_宵 「うにゃん、おっかえりー♪」(あ、 _3_宵 やばい。僕ってここまでもやしだったっけ…) _3_宵 抱き締め返しつつ、力負けしてることに冷や汗/ __ムツキ 「色々ご心配をおかけしましたが、三笠ムツキの身体、帰還であります♪」おどけながら敬礼 __ムツキ そしてそのまま隣に座り「マスター、お勧めのアールグレイをホット、ストレートで、後フォンダンショコラお願いします」/ _3_宵 「僕らのほうも色々テンヤワンヤで手伝いはできなかったけど、無事の帰還なによりであります…にゃ」 _3_宵 こちらもおどけて敬礼で返しつつ _3_宵 「マスター、僕もショコラーーーーー」/ __ムツキ 静かに、ささやくような口調で「うん、暁くんとは一緒に戦う事多かったし、何となくは察してる。ほら、マキナの時も一緒だったでしょ?」「ボクに、何か手助けできるような事があれば、いつでも言ってね」 __ムツキ そして普段の口調に戻って「ほら、この間まで暁くんには直接ボクが見えない、ボクの聞こえない状態でさ」「さびしがったんだよ〜」大げさに泣き真似しながら/ _3_宵 「マキナの時は…あれは焦ってたとはいえ反省したにゃ」紅茶をのみつつ _3_宵 「あー確かに、あーちゃんも凄い困ってたよ _3_宵 むーちゃん認識できないんだけど、どうしよう。むーちゃん困るよね、って。 _3_宵 つくづく、あーちゃんずれた悩み方だとおもったけど」/ __ムツキ くすっと笑いながら「困るって言うか、寂しいし哀しいよね」「大事に思ってる人に何も伝えられなかったり、、」「何も出来なかったり、、」 __ムツキ 「ボクも、あんな事になって、自分の身体をなくしちゃった時はどうしようもなく哀しかった」「自分の望んだ運命だと納得していても。それでも哀しかった」「そして、そんな泣き虫のボクの、涙をぬぐいに来てくれた、心配してくれたみんながいて、凄く嬉しかった」 __ムツキ 「どうしようのない運命だと思えても。他の人が別の場所から見たら、」「抜け道が見えたりするんだよ。ボクがそうだった……」 __ムツキ 「って、ボク何いってるんだろね」照れくさそうに笑いながら「あ、フォンダンショコラきたよ!10秒で切って食べないとせっかくのとろーりチョコが固まっちゃう><」/ _3_宵 「そうそう。本当、見事なぐらいズレるんだにゃー」ショコラを食べつつ「本当、鈍すぎだよ。自分に向けられる感情にも、自分の感情にも」(せめて僕の感情ぐらいちゃんと理解してほしいよ) _3_宵 「ショコラ!」もぐもぐ食べつつ _3_宵 「今のあーちゃんは、初まりが零だから…自分が失くなるってことに、何も感じないんだろうにゃ。 _3_宵 動かない、困ったな。で終わり。 _3_宵 自分に執着がなくて、きっと脇道も抜け道も提示されても、ごめんなさいって謝って勝手に走って行っちゃう _3_宵 そーいう、困ったさんなんだにゃー」 _3_宵 ペロッとショコラを食べ終わり _3_宵 「そんな困ったさんのために、むーちゃんにお願いがあるんだけど、良い?」/ __ムツキ 「うん、もちろん」満面の笑顔を返します/ _3_宵 「手をね、握ってほしいんだにゃ。あーちゃんの、左手」何処か暁に似た柔らかい笑顔で/ __ムツキ 「喜んで♪」笑顔のまま宵さんの右手を握り __ムツキ 「よしっ」思い立ったように「空っぽならこれからみんなで色々楽しいこと詰め込んじゃおう♪」 __ムツキ 「とりあえず13日には三人で手を繋いで百貨店に突撃かな?」相変わらず満面の笑みで/ _3_宵 「ありがとう」暁に似た笑顔で応えた後 _3_宵 「13 _3_宵 …結果発表前日?いや、だからこそか。よし、いこう♪たのしいお買い物だ!」 _3_宵 キリッ、ときめたあと _3_宵 「待ち合わせとかは帰りながらきめよっかー閉店時間だし」/ __ムツキ 「おー!」嬉しそうに「じゃ、マスター失礼します」「」おやすみなさいー♪」退店します/ _3_宵 「マスター、またねー。あと、ありがと」といって、ムツキをおって出て行った/