__悠香 からんからん、とドアベルが鳴る。 __悠香 「こんばんは……って今日はマスターだけ?」/ *nick __Yuuka → _5_Yuuka _5_悠香 「ま、いいけどね……一人でゆっくりできるし。マスター、冷たい麦茶一つ」/ 有希 「・・・こんばんは」 有希 喪服を身にまとい、ゆっくり入ってくる/ _5_悠香 「こんばんは……?」喪服姿を見て怪訝そうになる/ 有希 「・・・今日は静かだねー」 有希 「マスター、珈琲を。」 有希 「・・・ん? どーかした?」悠香ちゃんの怪訝な表情に気づき/ _5_悠香 「いや、何があったのかは知らないけど……喪服姿のままで来たからちょっと気になって」/ 有希 「あー、うん。真昼から連絡あったでしょ? ちょっと知り合いのコも結構死んじゃっててね。参りに行ってきたのよ。」 有希 「・・・最近、ラフなカッコが多かったから、ちょっと意外?」 有希 笑ってみせ、出されたカップに口をつける/ *nick yu- → _6_yu- _5_悠香 「まあね。でも、そっか。たまたま私と接点が無かっただけだから、ムツキちゃん以外はどこか別の世界の話のような気がしてたわ……」/ _6_有希 「・・・まぁ、確かに。戦場だから、死んでも当たり前なんだけどねー」 _6_有希 苦笑して 「そういえば、悠香の御家族は、みんな息災なの?」/ _5_悠香 「幸いにもね。こういう世界とは無縁の人たちだから、うっかり巻き込まれでもしなけりゃ問題無いとは思うけど」/ _6_有希 「・・・あれ、そうなんだっけ? 『そういう』血筋なのかと思ってたんだけど―ご先祖様がどうこう、って言ってたでしょ?」/ _5_悠香 「うーん、先祖は竜人女帝っぽいんだけど、なんというか……代を重ねていくうちに大分血が薄れてるんじゃないかしら?」 _5_悠香 「大昔はどっかの退魔師の家とも繋がりがあった、って聞くけど……そこら辺は両親の代でバッサリと手を切って、関係していた証拠なんて跡形も無くなってるようだし。私も掘り返す程の興味も無かったしね」/ _6_有希 「隔世遺伝ね。・・・そっかぁ、立派なご両親だね。だったら、こんな戦いに出てこなくても良かったんじゃないの?」/ _5_悠香 「立派、か。ものはいいようよね」 _5_悠香 「彼らは怖かっただけよ。金もあり、権力もあった……だけど、それよりも外面が悪くなるのが一番怖かった。退魔師なんていう胡散臭い存在に関わって家名を、ひいては自分達の評価を落とすのが怖かった」 _5_悠香 「日本全体で見れば、大した金持ちでも権力者でも無いのにね。まあ、その御蔭で『弟ではなかった』私も堕胎されずに生きていられるんだけど……」自嘲的な笑みを浮かべる。 _5_悠香 「まあ、そう言う見方もあるかもね。覚悟の無い人間が関われる分野ではないもの。でも、私は力があるのに見て見ぬふりするのが気に食わなかったから、こうしてここにいる。両親がどう考えようが、全く関係ないわ」/ _6_有希 「・・・・・・」 _6_有希 「そー、なんだ。・・・ご両親が守りたいものって、悠香ちゃんだったわけじゃなくて?」 _6_有希 「・・・あ、いや、ゴメン! 忘れて!」/ _5_悠香 「ん、別に私は気にしてないわよ? 私と両親の関係はそういうものだってもう割り切ってるし」 _5_悠香 「多分、両親が守りたいのは兄だけだと思う。私はそのまま野垂れ死にしたり、悪事を働かれたら兄や両親にまで影響が出るから、そうならないように配慮されてるだけ」 _5_悠香 「今更政略結婚、ってのもかえって外聞が悪くなることがあるしね。両親はさぞ私の処分に困り果ててるんじゃないかな」/ _6_有希 「・・・流山家って、聞いたことなかったけど」 _6_有希 「結構そういうことする家って多いのかしら。経験がないわけじゃないから否定できないけど・・・うーん」 _6_有希 / _5_悠香 「そ。そもそも、京都って言っても端っこだしね。大昔は退魔師家業もやってたとかやってないとか言う話もあるみたいだけど、昔の話だし」 _5_悠香 「現代だと幾つか土地があるくらいのもんだしね。それでも、両親にとってはその親から受け継いだ大切な家らしいわ」 _5_悠香 「私はほら、見目はそれなりにいいから。もっとも現代でそれが許されたとして、結局娘が信頼出来なくてどこに嫁がせるか悩んでる間に今度は歳を取ってきて、とか自縄自縛に陥るんじゃないかな?」/ _6_有希 「んー・・・兄上様は、なんて?」「悠香みたいに、家やご両親に対して否定的なの?」/ _5_悠香 「……さあ? 最近はろくに話した事も無いしね」/ _6_有希 「あれ、そーなの?」「・・・悠香は兄上様とは仲がいいのだとばかり思ってたんだけど」/ _5_悠香 「それは小学校に入ったかどうかくらいの頃の話。今は挨拶くらいしか交わさないし……私から話しかける事も無ければ、兄から話しかけることも無いわ」/ __クローズ 扉を開けて地味な男が入ってくる __クローズ 「ぎりぎりセーフ、ですねぇ・・・」 __クローズ 「早速ですが、エスプレッソをお願いします」>マスター __クローズ 「突然失礼しました」 __クローズ 苦笑して「と、いうことで・・・こんばんは」>二人/ _5_悠香 「こんばんは」>クローズ/ _6_有希 「こんばんは・・・あぁ、ラストオーダーか。どーしよ、チョコレートケーキ貰おうかな。」/ __クローズ 4番席を指して「お隣、失礼しますね」>悠香 *nick __CLOSE → _4_CLOSE _4_クローズ / _5_悠香 「ええ、どうぞ」>クローズ/ _6_有希 「自由にやって、それでも家を出ないのは、愛着があるからなんでしょ?・・・家というよりは、ご家族に・・・というか、兄上様に。」最後のは悠香にすら聞き取れるか怪しい小さな声で/ _4_クローズ 身の上話のようなので、口をはさむのも野暮かと思い、だまってコーヒーをちびちび/ _5_悠香 「愛着、って言うよりはこっちも利用してるだけだけど?」きょとんとした顔で _5_悠香 「兄に対しては確かに色々思うところはあるけれど、家に関しては……まあ、大学を卒業するまでは学費くらいは出してもらおうかなって」/ _6_有希 「・・・ふっ」 _6_有希 人差し指で悠香の頭を小突いて _6_有希 「ご両親の批判する立場にないわね」くす、と/ _5_悠香 「ん、あっちがあっちの思惑でこっちを縛りたがるなら、こっちも相応の対価を……それもびっくりするほど格安にまけて貰ってるだけだもの。批判する権利くらいおまけで入れてもらうわ」にっこり/ _6_有希 「・・・残念ながら、同意しかねるわ。 貴女が子供二人産んで育てて、なおそれを言うようなら、もう諦めるけれど」 肩をすくめ、チョコレートケーキに手を付け出す/ _5_悠香 「んー、まあ大学が終わったら異能の事を一旦話そうとは思ってるけどね。十中八九勘当されるだろうから、その時どうにかなるようにしとかないといけないけど……うーん」/ _4_クローズ 雰囲気が少し軽くなったようなので口を挟んで「勘当されたいのか、されたくないのか」 _4_クローズ 「自分がどうなりたいのか、から考えた方が良いかと思いますよ」>悠香/ _4_クローズ 訂正:どうなりたいのか→どうありたいのか/ _5_悠香 「……誰かに無闇矢鱈と束縛されなければ、なんて言うのは贅沢な望みか」 _5_悠香 「暫くは退魔依頼を受けておいたほうが良いか。もしかすると、思わぬところで出費が出るかもしれないし」/ _6_有希 「社会で生きていく上で、束縛から完全に逃れることなんて不可能よ」 _6_有希 「どんな親子関係であれ、此処まで育ててもらったのよ。――貴女の意思の大半が家族に培われたものであることを忘れないで。」 _6_有希 言いながら席を立つ/ _4_クローズ 笑って「確かに束縛から逃れるのは難しいですね。でも、だからこそ楽しいとも言えますけど」 _4_クローズ 「何もかも思い通り、なんて・・・多分退屈ですよ」/ _4_クローズ 言ってから、コーヒーをクイッと飲み干します/ _5_悠香 「感謝の気持ちはあるけれど……やっぱり許せない気持ちのほうが強い、かな」ボソリ _5_悠香 それから表情を切り替え、クローズに苦笑いしつつ「幾らなんでも、全部思い通り、ってのはぞっとするわ。でも、自分の事について自分で決定する。突き詰め方を一歩でも間違えれば、それは全部思い通りの世界なのかもね」/ _4_クローズ 笑って「かもしれませんね」 _4_クローズ 「まあどうなるにしろ、私は生きていることが楽しくて仕方がないですよ」 _4_クローズ 「さて、そろそろ行きますか・・・それではおやすみなさい」 _4_クローズ ここから出て行きます/ _6_有希 「・・・じゃ、おやすみなさい」 _6_有希 去り際に、悠香の頭をぽん、と軽く叩き _6_有希 「(・・・それでもなお、真の自由を求めるのなら、どーぞご相談を♪)」 _6_有希 悠香の頭のなかに声を響かせると、音もなく消える/ _5_悠香 「……さて、私も帰らないと。じゃあね、マスター」と言って退店/