有希 「こんばんは」 静かにドアを開け、慣れた様子の女性が店内奥へと進む 有希 「他にお客さんが居ないのは久しぶりかな? ……とか何とか言ってるうちに誰か来そうな気もするけれど」 有希 マスターにそう微笑むと、いつもの? と訊かれ 「ええ、ロックで」席に座ってBGMに耳を傾ける *nick yu- → _4_yu- _4_有希 かららん、と音を立て、琥珀色のグラスを口に運ぶ _4_有希 「あー、美味し」/ 悠香 カランカラン、と気兼ねなくドアベルを鳴らして入店 悠香 「こんばんは」店内を見回し 悠香 「今日は静かだな」と言いつつ席に座る *nick Yuuka → _5_Yuuka _5_悠香 / スピカ 「いらっしゃいませ〜☆」いつでもどこでも現れるウェイトレスが、ひょっこり現れた/ _4_有希 「こんばんは。たまには静かに呑むのも良いものよ」>悠香 少し首をかしげ、笑いかける/ _5_悠香 「急に騒がしくなったな……烏龍茶を一杯くれ」とスピカに注文した後、思い出したように手持ち鞄(実用性優先)から紙の封筒を六つ取り出す _5_悠香 「有希と、あとはスピカ、これはそっちの分」と細長い封筒を3つずつに分けて二人に渡す/ スピカ のほほんとした雰囲気でカウンターの後ろに立つ。 「かしこまりました〜」悠香の注文を聞けばすぐにグラスに烏龍茶を注ぎ5番席にお持ちする スピカ 「封筒、なのですか〜?」そして小首を傾げながら封筒を受け取った/ _4_有希 「あ、でも、悠香ちゃんはお酒は苦手なんだっけ?」 「なぁに、これ?」渡されるがままに受取り<封筒/ _5_悠香 「一つの封筒に日本円で一万円札百枚、計三百万だ」とことも無げに言う _5_悠香 「ああ、だから私はこれでいい」と言って烏龍茶の入ったグラスを口に運ぶ>有希/ _5_悠香 「二人合わせて六百万、ってところだな」/ スピカ 「さ、三百万円〜!!?」金額を聞けばびっくり仰天。猫耳がピンと立った/ _4_有希 「どうしたの? 急に。 お金には困っていないのだけれど、それとも何か仕事の依頼?」ゆるりと>悠香/ _5_悠香 「この前もう一人と魔獣倒しただろう? あれ、私も倒す依頼を受けていたんだ。円卓の騎士とは別口で、だけどな」 _5_悠香 「だがいざ接触してみようと思った頃には死んでて、色々調べたら……って事。流石に前金とはいえそのまま懐に入れるのは趣味じゃないからな」/ _4_有希 「あぁ、先週のアレか」 スピカの顔をちらりと見て、意味ありげに薄く笑う _4_有希 「魔獣のこともよくわかってない依頼人だったの? ちなみに、どういうルートで?」/ _5_悠香 「復讐依頼だ。前金で一千万。何でも身内を殺されたから復讐してほしい、との事だったが。詳しく調べる前に本人が死んでしまったのではな」/ スピカ 「そ、そうなのですね〜。事情は分かったのですよ〜」まだ大金にとりび出している感じに答える スピカ だがすぐにゆったりとした雰囲気に戻り、悠香のもとに先程渡された封筒を置く。「ですが〜スピカはこれを受け取れません〜。悠香様にお返ししますね〜」 スピカ 「スピカは〜皆様の笑顔のために魔獣さんと戦ったのですよ〜。それに報酬ならば、本部より正式に受け取っているのです〜」 スピカ 有希の意味ありげな笑みにも、ウェイトレスの笑顔で返す/ _5_悠香 「なら寄付にでも何でも使ってくれ。私の手元にも置いておけぬ金だ」と肩をすくめる>スピカ/ _4_有希 「復讐か……ってことは、依頼人は闇のものだったのかな。 何にしろ、死んでしまったなら仕方ないね」 _4_有希 「でも、悠香ちゃんも変に律儀ね。べつに気にしなくたって、自分で受けた依頼なんだから、ありがたく納めておけばいいのに」/ スピカ 「悠香様は律義なお方なのですね〜」そんな悠香の心意気を突っ撥ねるのもいかがなものだろう。「かこしまりました〜。それではこの三百万円は先週の魔獣が出した被害のために、寄付させていただきますね〜」そうにこりと返し封筒を受け取った/ _5_悠香 「見ず知らずの他人が殺したならともかく、顔見知りだとどうにも顔がちらついて」>有希 _5_悠香 「そうしてくれ。その方が依頼人殿もこの金出した甲斐があるというものだろう」とうそぶく>スピカ/ _4_有希 「騎士団に寄付したら、そこら辺は上手くやってくれるよ。個別に保障するにはこれでも端金にしかならないからね」>スピカ/ _4_有希 「あはは。別に、そんなことで悠香ちゃんに文句つけたりしないってば」<どうにも顔がちらついて/ _5_悠香 「解ってるさ、有希が金くらいでどうこう言わないのは。私の心の問題だからな」 _5_悠香 「そして私の手元から離れたということはもう私の責任でないという事だ。あともう一人を探し出して押し付ければ終わりだな」と他人事のように/ スピカ 「分かりました〜、有希様。それではこのお金は騎士団の方に寄付させていただきますね〜」被害の復興など一介のウェイトレスでは素人。騎士団に寄付した方がよっぽど効率的だろう>有希/ _4_有希 「退魔士として生計立ててるなら、ちょっとがめついくらいが丁度良いと思うけどなー」 「まあ、悠香ちゃんの腕ならそんなこと気にしなくても食べてくのに困ることはないんだろうけど」/ _5_悠香 「他の依頼人からもそれなりに頂いているよ。人一人の生命を取るんだから」 _5_悠香 「もう一人は見つからなかったら自分も騎士団に寄付しておこうかな」/ _4_有希 「じゃあ、私はありがたく家計のために貯金しまーす♪」 3つの封筒は虚空へと消え/ _4_有希 「しかし、悠香ちゃん、闇のもの側の依頼も受けるんだね。ちょっと意外」 グラスの中は空になり、もう一杯、と合図を送りつつ/ _5_悠香 「意外って何が?」>有希/ _4_有希 「いや、件の魔獣は極端だったから、問題ないけどさ。 人であることにこだわりがあるから、人外に与する仕事受けて、やりづらくなるのは避けるのかなと」/ スピカ 「かしこまりました〜」と笑顔で有希にもう一杯用意する。 (退魔士とは、お金を貰って不思議な事件を解決する職でしたっけ?)と小首を傾げつつ/ _5_悠香 「……拘りが無いと言えば嘘になるけど、闇のものに恨みがあるわけでもない。それに、入念に下調べはするから殺すべきでないと思った人物を殺したりはしないよ」と有希に笑いかける/ _4_有希 「そういうスタイルね。下調べの結果、悠香ちゃん的にNGだと、依頼人と揉めない?」 ありがと、とスピカからウィスキーを受取りつつ/ スピカ ゆったりとして、二人の会話に耳を傾けるウェイトレス/ _5_悠香 「依頼を引き受ける時にそもそもそういう約束だからな。前金有り、且つ調査の結果受けるべきでないと判断したら受けない」そう言っていつの間にか空になった烏龍茶のグラスを意味もなく軽く揺らす。 _5_悠香 「私はあくまでも復讐されるべき存在がいて、それに復讐したいと思った依頼人に手を貸すだけだ。くだらない争いに手を貸すつもりなんて無い」/ スピカ 「受ける依頼に、悠香様なりの矜持があるのですね〜」悠香の話を聞いて、そんな感想をもらす/ _5_悠香 「依頼に矜持があるって言っても大体は人殺しだけどね」>スピカ _5_悠香 「その約束を交わした上で揉める事はあるけど、大体は依頼人に泣き寝入りしてもらう事になるかな」>有希/ _4_有希 「ふーん。悠香ちゃんから見て殺すべき人は多い? 復讐代行なんて当事者からはそりゃあ深刻な執念があるけど、第三者から見ると大抵くだらない争いじゃない?」/ _5_悠香 「私のところにまで持ち込まれるような奴は危ないのも結構居るよ。放っておけば第二、第三の依頼人が来そうな、ね」 _5_悠香 「たまに小娘と侮ってくだらない争いの手駒に使おうとするやつもいるが」/ _5_悠香 「スピカ、今度は緑茶を頼む」>スピカ/ スピカ 「人を殺さねばいけない……理由があるのですね?」悲しげにそう答える。基本的に表の世界でウェイトレスをしている少女には当然、人殺しは良い意味には聞こえない。 「緑茶でございますね〜」だが注文を聞けばウェイトレスの仕事モード。笑顔に戻って湯のみに緑茶を注ぎ、五番席にお持ちする/ _4_有希 「あぁ、それなりに名が売れてるの? うーん、フリーランスはあんまりわからないんだよなー」 ぶつぶつと独り言のように呟き/ _5_悠香 「改心すればそれがいいんだけど、私には人が改心したかどうかなんて判らないからな」>スピカ _5_悠香 「知る人ぞ知る、ってところじゃないかな、知名度は。殺るべき相手はよっぽどの重要人物でない限り殺ってるつもりだけど」>有希/ _4_有希 「いや、ホントに掟破りの凶悪な奴ばっかり相手にするなら、フリーの退魔士やるより、大組織に入ればいいじゃないと思ったけど、悠香ちゃん束縛されんの嫌なんだもんね」/ _5_悠香 「束縛されるのは嫌だし、組織の身内にそういうヤバい奴を抱えてる可能性も皆無とはいえない」 _5_悠香 「それに、組織にとっても私は扱いづらい手駒だと思うぞ。殺さないと不味いと私が思った相手をうっかり殺すのは二度三度じゃ済まないだろうからな」>有希/ _4_有希 「それはまぁ、私みたいなのも居るから、何処もそんなものよ」 「…うん、まぁ、悠香ちゃん自由だから、おススメ物件じゃないよね」くす、と笑いつつ/ スピカ 「スピカには退魔士の事はよく分かりませんが、世の中は物騒なのですね〜。あまり人様に迷惑をかけてはいけないのですよ〜?」この世界の深い闇を知らず、ただ表で幸せに暮らしてきた。そんなウェイトレスの和やかな一言であった/ _5_悠香 「まあ、今の有希に関しては仕方のない事だと思って見逃せるよう努力している。二律背反だとは自覚しているがな」>有希 _5_悠香 「人様に迷惑を掛ける奴が減ると世の中平和になっていい事だと思うんだがな、どうにもうまくいかないものだ」>スピカ/ _5_悠香 「さてと、私はそろそろ行かなくては」と立ち上がる _5_悠香 「ではまた今度」と言って退店/ スピカ 「スピカは〜ですね〜。人様に迷惑をかけるお方も良き心を持って懸命に暮らしている方々も手を取り合えば、幸せ〜に一歩近づくのだと思うのですよ〜」ゆったりとした笑顔で悠香にそう答える スピカ 「みんなが笑顔、それが一番なのです〜」それは夢のような願い。現実では、どうしようもない悪というものはいるもので── スピカ 「ご来店、ありがとうございました〜」退店する悠香にぺこりと頭をさげる/ _4_有希 「ん、またね」 出ていく悠香の姿を目で追うこともなく。 _4_有希 「ねぇ、スピカちゃん。 人様に迷惑をかける奴というのは得てして取った手を捻り上げるようなものなんだけど――」 _4_有希 「そういう時はどうすればいいのかしらね?」 首を傾げ、素朴な疑問というような顔をして/ スピカ 「スピカなら、自身の想いをぶつけてみると思います。説得してだめなら、スプーンで殴ってしまうかもしれません。少し痛いですが、先週の魔獣の時のように全力全開でぶつかりあうかもしれません」のほほんとした声で答えていく/ _4_有希 「良いわね。貴女の言葉は単純無垢だけれど、だからこそ人によっては心に響いて改心するかも」/ スピカ 「単純無垢──そうですね〜。スピカにはあまり難しい事がよく分からないですから」やや苦笑する。/ _4_有希 「――だけど私なら、話をしている隙に何十人、何百人と殺すわ」 _4_有希 「無力化する程度の攻撃ならば、押し切って手痛い反撃をもらうかも」 _4_有希 「それでも、悪い人に対して、そういう機会を与えるのかしら?」 今度は先程の問いと違い、明確にスピカへと向けられた問い/ スピカ 「殺させません。そのための力を──皆様を守れるだけの力をスピカはお兄ちゃんにいただきました」 スピカ / _4_有希 「貴女の手で守れなかった命があるのに、まだそう言うの?」 誰のことを指すのか、それは言うまでもない/ スピカ 「そうですね、スピカの手で守れなかった命はあります」悲しげな表情を見せた後、再び一直線に有希を見据える。「ですが、スピカはそれで想いをぶつける事を諦めたりしません! 絶望に負けたりなんてしません!」/ _4_有希 「とても良い答えだわ。…死を悼み、それでも諦めずに頑張ってね」 柔らかく微笑み返す/ _4_有希 席を立ち、「さてと、ご馳走様でした」 出口へと歩を進める/ スピカ 「有希様……本当のあなたはどちら(善悪)なのでしょうか──」他者には聞こえない声で呟く。そして、本当の有希が善側であると単純無垢で淡い希望を抱きつつ スピカ 「ご来店、ありがとうございました」最後は笑顔で有希にぺこりと頭をさげた/