KANTOKU> 1 KANTOKU>  8月も終わりになろうとした夏の日。 KANTOKU>  <審判>の騎士八幡佳美は、山の中を歩いていた。 KANTOKU>  世界最強の能力者たる円卓の騎士の一人だが、その顔は緊張していた。 KANTOKU>  なぜならこの辺りには、バケモノが出るという噂があったからだ。 KANTOKU>  その時、何者かの気配を感じて動きを止める。 KANTOKU>  強力な気だ。 KANTOKU>  佳美は、ゆっくりと日本刀を構える。 KANTOKU> / Yoshimi> 「………この気は…しかし、魔獣ほどでは、ないか………」 Yoshimi> 日本刀を握る手に力が入る/ Yuuki> 「ったくよー、生活費が残ってりゃこんなケチな依頼受けずにすんだのに・・・」 Yuuki> ぶつくさ言いながら歩いてくる/ Yoshimi> 「弁慶…この気配、どう読む」 Yoshimi> 佳美は気配のする方に警戒を強めながら、背後に言葉を投げかける。/ KANTOKU> 「人間のようですな。しかし、若気をつけなされ、彼の者、拙者と若がともに戦って互角ほどの腕前のものかと……」 KANTOKU> 弁慶も実体化し、長刀を構え用心深くあたりを見回す。/佳美へ Yoshimi> 「………」 Yoshimi> 佳美はすぅと息を深く吸いこむと Yoshimi> 「何者だ、姿を現すがよいぞ!!」 Yoshimi> 気配の方向へと大音声で呼びかけた。 Yoshimi> /悠騎 Yuuki> 「おや、何者かはしらねーが出てこいと来たか。以外と今回のターゲットだったりして♪」 Yuuki> わずかに殺気が感じられる Yuuki> 「人に命令する前に自分が出てくるのが礼儀だろう?」馬鹿にしたような口調で/佳美 Yoshimi> 「よかろう、覚悟するがよいわ。弁慶、続け!!」 Yoshimi> 常人では及びもつかないほど高く跳躍した佳美は、刀を振りかざし声の方へと飛びかかった。/悠騎 Yuuki> 「・・・違うな、こんな人っぽい奴な分けない。」影に潜って攻撃をかわして、少し離れた所まで移動 Yuuki> 「ここら辺の人間は挨拶代わりに攻撃するのか?物騒だねぇ。全く」/ Yuuki> 佳美 Yoshimi> 「一瞬殺気を感じたが………戦う気は無いのかしら? ………」 Yoshimi> 気を張り巡らせ、周囲の動きを感じる佳美/クウ kuu> と、そこへ不思議な雰囲気を持つ少年が現れた。 kuu> 「あれ?そこにいるのは悠騎さんじゃないですか?」 kuu> と少年は言い、左手を上げて二人の間に入ってくる。 kuu> /悠騎 KANTOKU> 2 KANTOKU> 偶然、出会った3人は、一緒に行動することとする。 KANTOKU> どうやら悠騎の話では、噂は本当らしく、そのために彼がここまで来ているとのことであった。/悠騎 Yuuki> 「と、言うわけなんだが、なんであんたらこんな所にいるの?もしかして商売がたきか?」騎士がいたので自分の負担が減ると思っている。/クウ kuu> 「え?僕は暇なので来たんですけど。」 kuu> なにやらピントのずれた答えを返すクウ。/悠騎 Yuuki> 「ふーん、暇だからってこんな物騒なとこに来なくても・・・。なぁ?」攻めるような視線を佳美に回す/佳美 Yuuki> クウ kuu> 「あ、そういう意味でしたか。」 Yoshimi> 「私は剣道部の合宿です。それよりも、雨宮さん。そんなに気を出しっぱなしでは、余計なものまで引きつけてしまいますよ。ねぇ、クウさん?」 Yoshimi> 佳美は少し怒ったように、腰に手を当てている。/クウ kuu> それに対してクウはちょっとおされ気味のようだ。 kuu> 「ま、まあ、そうかもしれませんけど、そんなに怒ると体に悪いですよ?」 kuu> と、必死になだめるクウは・・・どこか、楽しげだった。/佳美 Yoshimi> 「怒ってるわけじゃありません。ところで雨宮さん。もう少し詳しく聞かせていただけませんか? 良ければお手伝いいたしますし」 Yoshimi> 少しだけ機嫌を直したのか、佳美は悠騎に微笑みかける。/悠騎 Yuuki> 「是非手伝ってくれ。」佳美の手をとりつつクウの方を向く Yuuki> 「もちろんクウもな。」 Yuuki> すでに依頼が成功したような喜びようだった。 Yuuki> そして、依頼の内容を一通り説明した。/ Yuuki> 佳美 Yoshimi> 「では行きましょう。クウさんも、いいのですか?」 Yoshimi> 苦笑いを浮かべつつ、佳美は悠騎の手を解く。/クウ kuu> その様子を見て、少し笑いながら kuu> 「まあ、元々僕もその噂が気になってここまで来たんですから。」 kuu> と答えた。/悠騎 Yuuki> 「まぁ、こんなとこで楽しくお話ししてもしょうがないから行こうか?」佳美に払われた手を見て苦笑いをする Yuuki> そのとき強力な魔力を感じて身構える「おいでのようだ」/監督 KANTOKU> 悠騎の視線の先を、佳美たちは見た。 KANTOKU> そこには、巨大な一つ目の鬼がいた。 KANTOKU> その背の高さは20メートルくらい、思わず佳美たちも驚くほどの巨大な闇の者であった。/佳美 Yoshimi> 「でかい………。少し、厄介ですね…」/クウ kuu> 「・・・鬼・・・?何で、こんな所に・・・」 kuu> クウは圧倒されたかのように少し呆けていた。 kuu> しかし、佳美に声をかけられたのに気付くと、不意に気がつく。 kuu> 「あ、と。そうですね。さすがにこれだけ大きいと、能力次第では通じませんね。どうします?」/悠騎 Yuuki> 「・・・でかいな。これは追加料金ものだ。」特にあわてた様子もなく Yuuki> 言った Yuuki> 「俺は単独戦専門なんでな、指揮はそっちで頼む。」急に引き締まった顔になって叫ぶ /佳美 Yoshimi> 「私が正面から切りかかります。御二人は相手の足首を狙ってください」 Yoshimi> 佳美の瞳に戦人の光りが宿る。 Yoshimi> 「はぁっ!!」 Yoshimi> 掛け声と共に佳美は巨人に斬りかかった。/クウ kuu> しかし、またもやクウは呆けていた。 kuu> (何か集中できない・・・何でだ?) kuu> だが、佳美に声をかけられた瞬間覚醒する。 kuu> 「っと、わかりました!僕は右足を狙いますから、悠騎さんはもう片方を!」/悠騎 Yuuki> 「任しとけって。」足下の影が悠騎の体を包むと、悠騎は魔獣に向かってかけていく Yuuki> /佳美 Yoshimi> 弁慶が佳美の身に乗り移り、うっすらと体が光りを放つ。 Yoshimi> 「ふぅ………ツェッ!!」 Yoshimi> 地を割らんばかりの豪刀が唸りをあげる/クウ kuu> 「うあああっ!」 kuu> クウは、他の二人の事を気にしながらも、自らの体を武器に変え、足に突っ込んでいく。 kuu> そして、剣となった左腕を振り下ろした。/悠騎 Yuuki> 「・・・」ものすごい殺気を発してワイヤーを放つ、放ったワイヤーに影が覆い被さり黒い竜になって巨人の足に向かっていった/ Yuuki> 監督 KANTOKU> 世界最強の能力者である騎士の連続攻撃、それは魔獣すらも死に至らしめることが可能なほどの必殺のコンビネーションであった。 KANTOKU> だが、 KANTOKU> 佳美の豪剣が袈裟懸けにその巨体の肩から胸まで切り裂き、クウの鋭き一撃が右足を貫き、そして黒き竜となった悠騎が、左足を吹き飛ばす。 KANTOKU> だが、瞬く間にその傷がいえていく。 KANTOKU> その再生能力と、あまりの手応えのなさに、3人は戸惑った。 KANTOKU> しかし、悠騎だけは、つい最近、同じような感覚をもったことがあった。 KANTOKU> そのために彼は気がついた/悠騎 Yuuki> 「・・・この俺に幻術か。いい度胸だ。」最近、幻術使いにただ働きさせられた悠騎は今までと比べ物にならない程強い殺気を放った。 Yuuki> 「おい、2人とも、こいつをいくら相手にしも無駄だ。おそらくこれは幻術、操っている本体を殺るぞ。」幻影の巨人から距離をとって2人に叫んだ。/ KANTOKU> 3 KANTOKU> 鬼のいた場所の近くを探していた3人は、小さな洞窟をみつける。 KANTOKU> そこには、子狐が母狐を守るように身構えていた。 KANTOKU> その子狐から、魔力がほとばしっている。おそらく妖狐の類なのであろう。母狐はすでに死んでおり腐乱がはじまっていた。/悠騎 Yuuki> しかし、悠騎にとっては子狐がなにをしていようと関係無かった「貴様か・・・。覚悟しろよ。」 Yuuki> 悠騎のワイヤーが延び子狐を縛りあげる Yuuki> /佳美 Yoshimi> 抜刀した佳美は、悠騎と狐の間に割って入りワイヤーを切断する。 Yoshimi> 「やめてください、雨宮さん! その子は悪くありません」 Yoshimi> /悠騎 Yuuki> 「そいつが悪くなくても、こっちにも生活と言う物があるからな。どかないと貴様ごとバラバラにするぞ」/佳美 Yoshimi> 「この子は母親を守ろうとしていただけです。子が母を思う心を踏みにじるのですか?」/悠騎 Yuuki> 「心で空腹は満たされないよ。獣に情けをかけて餓死なんてごめんだ。分かったらどけ。 Yuuki> 」戦うのと同じ様な殺気を放ち構えた。/佳美 Yoshimi> 「貴方は………!! 先の続き…できればやりたくはありませんが…。騎士としてどちらが上か試してみますか?」 Yoshimi> 佳美の視線が悠騎に突き刺さる。/クウ kuu> しかし、そこで一人離れた場所で鬼を見ていたクウが二人の争いに気付いた。 kuu> 「な、何をやってるんですか、二人とも!」 kuu> クウは、己の能力『物質創像』で、二人の間に壁を作り出す。 kuu> 「悠騎さん・・・八幡さん・・・何を、やってるんですか・・・?」 kuu> と、あくまでも静かに、だが、なぜか相当な迫力のある声で二人に語りかけた。 kuu> /悠騎 Yuuki> 「俺はそこの回りを騒がせている幻術の原因を取り除こうとしているだけだ。」間に壁が入ったので相手が見えなくなって多少冷静さを取り戻した悠騎は言った/クウ kuu> 「八幡さん・・・?」 kuu> と、今度は佳美に聞き返す。/佳美 Yoshimi> 「もし原因を取り除こうというなら、殺す以外の選択肢もあるでしょう? 雨宮さんにはそれが見えないんですか?」 Yoshimi> 「騎士とは、それほどまでにも短絡的なのですか?」 Yoshimi> /悠騎 Yuuki> 「俺は騎士としてでは無く、1退魔師としてここに来てる。そもそも依頼の内容が化け物の死体を持ち帰る事だからな。生活がかかってるんでな」/佳美 Yuuki> /クウ kuu> 「はぁ・・・二人の言い分はわかりました。」 kuu> と、ため息をつきながら喋る。 kuu> 「貴方たちの言っていることは、それぞれが正しいです。でも、だからと言って僕達が争うのは無意味です。違いますか?」 kuu> と、二人を諭す。しかし、急に困ったような顔になる。 kuu> 「でも・・・困りましたね。悠騎さんはこの子を殺さなきゃいけないみたいだし、かと言って僕もこの子を殺すのには賛成できません。となると・・・」 kuu> またため息をつきながら、クウは悠騎の方をすがるような目で見る。/悠騎 Yuuki> 「要するに、こいつを殺したくないんだろ?誰かが今回の成功報酬と同じだけ払ってくれればこの仕事は無かった事に出来るんだが?」 Yuuki> 「200万だ・・・。これがケチな依頼で良かったな。」構えを解いてクウの方を見る/クウ kuu> 「はぁ・・・解りました。まぁ、それくらいで丸く収まるのならいいですけれどね。」 kuu> ちょっととほほというような顔で承諾するクウ。 kuu> 「八幡さんも、よろしいですか?」/佳美 Yoshimi> 「そうですね、雨宮さんがそれで引いてくださるなら。私の前回の報酬が手付かずで残っておりますので、それをお出しします」 Yoshimi> 壁の向こう側で、つんとした表情の佳美。/クウ kuu> それを聞いて、クウも kuu> 「僕も半分出します。僕が言い出した事ですしね」 kuu> と、申し訳無さそうに言った。 kuu> (まぁ、これで喧嘩はもういいとして、問題はこの子か。) kuu> 子狐を目の前に、途方にくれた顔になる。 kuu> しかし、こうしていても仕方ないと思い、とりあえず手を差し伸べるクウ。/子狐 KANTOKU> ややおびえているが、闇の者らしく人語はわかるようであった。 KANTOKU> 自分の命が助かったことに気づいているのか、クウの手にお手をする。/ KANTOKU> クウ kuu> 「ごめん・・・君のお母さんは、もう・・・死んで、いるんだ。だから、助ける事は出来ない。」 kuu> 子狐をそのまま抱きしめ、諭すクウ。 kuu> 「・・・君はこのままここに居たら、きっと他の人が殺しに来る。だから、もっと山奥へ行くんだ。そうすれば、きっと君の仲間も居る。」 kuu> 「だから・・・」 kuu> そこまで喋り、顔を伏せる。 kuu> 「ごめん。結局は、みんな僕の自分勝手な意思なんだ。結局君には何もしてあげられないまま。こんな事は言う資格は無いんだ。でも。」 kuu> また顔を上げ、子狐と目を合わせる。 kuu> 「いつか、自由に生きる事が出来るようになってほしい。」 kuu> 最後は呟く様に話すと、子狐を抱えながら、後ろの二人に話しかける。 kuu> 「さあ、行きましょうか!」/ kuu> 監督 KANTOKU> 3人が墓をつくり、母親を弔うと、子狐はぺこんと頭をさげて山の奥へと走り去っていった。 KANTOKU> それを見送ったあと、3人はそれぞれ自分の生活へと戻る。 KANTOKU> 本来あるべき生活へ KANTOKU> そして、彼らが命をかけて守るべき生活へ KANTOKU> (完)