EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> そうして、男は死んだ。 EM> 二人の間に特別、何かがあったわけではない。 EM> ある店内で言葉を交わし、共にある仕事をこなし、ある場で一度だけいがみ合っただけだ。 EM> そして、海萄 俊は死んだ。 EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> ――「さよなら、フレンド-Please sleep peacefully-」 EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> 麻生直樹は海萄家の庭園に一人訪れる。屋内からは御経を唱える声。 EM> 直樹は葬式には行こうと思っていない。 EM> それでも、海萄の敷地に足を踏み入れた。 EM> 庭に佇む、あの男に別れを告げるために。 EM> 過ぎ去りし時はもう戻らない。だからこそ、麻生直樹は海萄 俊に別れを告げようとしている。 EM> それは一人の友人として、当然の権利なのだと直樹は思っていた。 EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> 俊 一面芝生に整備された庭から、お経の発生源…屋敷を眺めて佇んでいる。勿論、俊は既に死んでいる。/ naoki> 直樹(やっぱり、広い……)うろうろと〜。今日は珍しくスーツ。でも中のシャツが青いのはお約束(笑) naoki> 直樹(あ、しゅしゅ……声、かけるのもシャクだよね)俊くんの方へ石投げてやれ/ EM> 俊 当たり前のように、石は俊の身体をすり抜けるが、その行動により俊は直樹に振り向いた。 EM> 俊「・・・・・・直樹か。」特に驚いた様子も無く、無表情のまま呟く。/ naoki> 直樹「ちぇっ。そっか、そういや当たるわけないよね……ちーっす、少女の英雄」ひょこっと、目の前に/ EM> 俊「…何でお前がその事知ってんだよ?」<少女の英雄>直樹 EM> / naoki> 直樹「さぁ、何ででしょーか?……なーんて。巷の噂だよ、かっこーつけ」にこっと。今日はやたらと突っかかってるような…>俊/ EM> 俊「うるさい。俺だってかっこつけたまんま死ぬとは思わなかったぞ…まあ、そのことはもうどうでも良い。…お前、何しに来たんだ?」>直樹/ naoki> 直樹「えー、今日はですねぇ、なおぴーがお別れを言いに来ましたー」すっごい演技っぽく、敬礼しつつ>俊/ EM> 俊「いらん」踵を返して立ち去ろうと…。/ naoki> 直樹「はい、ストップ!!そこで帰ろうとしない……最後ぐらいいいじゃん、じっくり話したって。ね?」すっごい笑顔>俊/ EM> 俊 ぴたりと止まり、 EM> 俊「最後、か……。まあ、少しくらいなら付き合ってやるよ」頭ぽりぽりとかきながら、ぶっきらぼうに言う。/ naoki> 直樹「ども、我侭につきあってくれてサンキュ」にこり EM> 俊「…ふん」そっぽ向いて、そのまま芝生に座り込む。/ naoki> 直樹「……つーかさぁ、あの手紙なぁに?かっこつけちゃって」けたけた>俊/ EM> 俊「・・・・・・もう逝くぞ」<手紙>直樹/ naoki> 直樹「はい、タンマタンマ。お前の手紙忠告破って泣くよ?」嘘っぽい>俊/ EM> 俊「…後で宣言通りに呪い殺してやるから楽しみにしておけ」聞く気になったようだ。/ naoki> 直樹「呪い殺してくれるの?どうも♪……つーか、あんなかっけぇ手紙用意してたなんて、せけぇよー」ぶーぶー>俊/ EM> 俊「まあ、騎士なんてものやってるからな。何時死んでもいいようにあの類の手紙は書いといたんだが……かっこいいか? かなりの度合いで自己満足ではた迷惑な手紙だった筈だんだが」>直樹/ EM>  芝生に二人。BGMはお経と、何とも不思議な光景だ。/ naoki> 直樹「うん。すっごい自己満足で傍迷惑。死に方もかっこよきゃ、遺書もかっこいい……すっげぇ、むかつくんだけど!!」#お経は聞き慣れてるんで、どってことない(笑)>俊/ EM> 俊「手紙にはむかついて結構。だが死に方は今更どうにもならん。どうせそこらの新聞で無駄に色付けられて上乗せで報道でもされたんだろ。」>直樹/ naoki> 直樹「英雄扱いだよ、しゅしゅ。よかったね♪」にっこり「でも、オレはそうは思わないよ……ただ単に、むかつく。うん、むかつく」ぶつくさぶつくさ>俊/ EM> 俊「何でお前がそんなにむかつくんだよ。」少し呆れたような顔で>直樹/ naoki> 直樹「わっかんねぇよ、そんなの!!わかんねぇけど、むかつくんだよ!!」やや取り乱しぎみ>俊/ EM> 俊 しばし沈黙。/ EM> 俊「……お前はさ。何でそんなに笑ってるんだ? ホントは無理に笑ってるんじゃないのか。」そう聞きながらも否定的な顔で言う>直樹/ naoki> 直樹「……何で笑ってるんのかわかる?オレ、わかんね。何でかね、笑ってるんだよ、いつも……あーもう、わかんないだらけ!」逆ギレ…>俊/ EM> 俊「直樹………」見るくらいしか出来ない。>直樹/ naoki> 直樹「でもね、しゅしゅ死んでから、時々うまく笑えねぇの……チョーウケね?」自嘲ぎみな笑み>俊/ EM> 俊「バカかお前は。俺が死んだくらいで何が笑えないだ。」乾いたような笑みを出す>直樹/ naoki> 直樹「あー、多分ね、友達だったんだよ。しゅしゅはどれくらいに思ってるか知らないけど、友達だったんだよね」遠い目でぼそっと>俊/ EM> 俊「まあ、お前がどう思おうが俺には関係無いがな」すっぱり言い切る。>直樹 EM>  そんな言葉の切れ際に、直樹はお経が終了間際になったのに気付く。/ naoki> 直樹「しゅしゅっぽい」けたけた「(そろそろ、お経終わるね……)ねぇ、しゅしゅさ、やり残したことない?」ふと、ぼそりと>俊/ EM> 俊「やり残した事? 何だよ、急に。」>直樹/ naoki> 直樹「ん?やり残したこと、言い忘れたこと……やったげる、いったげる」>俊/ EM> 俊「…いや、良い。そんなこと、お前には任せられん。」軽く笑う>直樹/ naoki> 直樹「少しは信頼しろっての、ばーか。ホントにばーか!!」逆ギレ>俊/ EM> 俊「信頼してないわけじゃねーよ」軽口を叩くように EM>  お経が。 EM> 俊「俺はな」 EM>  男に捧げる言葉が。 EM> 俊「お前のこと」 EM>  終わりを告げる。/ EM> 俊 ふ、と消える。/ EM> 『お前のことを、少しは大切な友人だと思ってるからな』/ naoki> 直樹「オレのこと……何?ふざけんな、ばーかっ!!最後まで言えよ、バカッ!!」さっき俊くんのいたところへ向かって叫ぶ EM> 言葉は風に消えて行く。 naoki> 直樹「ふざけんなよ……ふざけんなよー……」その場にしゃがみ込む/ EM> 風が草を撫で、巻き上げ、草は青い世界へと上って行く。 EM> それは、日本の、ある県の、ある場所の、ある家の、ある庭の。 EM> 小さな、小さな別れだった。 EM> / naoki> 直樹「嫌い……大嫌い……」その場にしゃがみ込み、ぶつぶつと naoki> 直樹「……でも、これからも友達でいさせて」ふと空を見上げる/ EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> こうして、男は逝ってしまった。 EM> 二人の間には、何が残ったというのだろうか。 EM> ある店内で言葉を交わし、共にある仕事をこなし、ある場で一度だけいがみ合っただけだった二人。 EM> そして、海萄 俊は消えた。 EM> 麻生直樹は海萄家の庭園に一人。 EM> 直樹は葬式には行こうとしなかった。 EM> それでも、海萄の敷地に足を踏み入れた。 EM> 庭に佇んでいた、男に別れを告げるために。 EM> 過ぎ去りし時はもう戻らない。だからこそ、麻生直樹は海萄 俊に別れを告げた。 EM> それは。 EM> …お互いが相手を友人として思い。 EM> その別れの挨拶は、当然の権利なのだと思っていたからだ。 EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> ――「さよなら、フレンド-Please sleep peacefully-」 EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM>   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ EM> END... EM> ―――――――――――――――――――――――――― EM> お疲れ様でした。 naoki> おつかれですー EM> では、裏に戻りましょう。